あのギタリストがパーカッションを! マヌーシュ・ジャズにとどまらないライブ映像 "Sinti Classics"

すごくいいマヌーシュ・ジャズの映像を見つけた。クレジットから得られる情報は、1985年の映像で、"Sinti Classics"というタイトルがついている、ということくらいしかわからない。出演者は、撮影当時30歳手前くらいと思われるドラド・シュミットDorado Schmitt や、クラウディオ・ファヴァリClaudio Favari、ホノ・ウィンテルステインHono Wintersteinやジノ・ラインハルトGino Reinhardtの4名。今と風貌が違いすぎる人もいるので、一瞬戸惑うが、間違えなくこの4名の面影がある。

"Sinti-Classics"なんていうタイトルの映像なので、てっきりジャンゴの名曲ばかりが演奏されるのかと思いきや、出だしの曲は"For Grappelli"とちょっとマヌーシュ・ジャズを思わせる演奏なのに、後半はジャズの"This Can't be Love"や、ボサノヴァアントニオ・カルロス・ジョビンの"Desafinado"を演奏したり、バラエティに富んだレパートリーが出てきて、面白いライブ映像だった。最後の方で"Sweet Georgia Brown"が出てきて、4人の本領発揮という感じだ。今やビレリ・ラグレーンの共演者としても欠かせないホノ・ウィンテルステインがボサノヴァの後ろでパーカッションをやったり、ドラドはギターとヴァイオリンを持ち替えて忙しく演奏、現在も現役のギタリスト兼歌手、クラウディオもシャンソンを披露したりと、とても楽しめるライブ映像だった。オススメ。

Primary(프라이머리)のスルメアルバム"Pop"

ソウルの本屋で偶然耳にしたのが、Primaryの”Right?"という曲だった。Soyouという歌手をフィーチャーしているのだが、この方の声もとても素敵だし、なんといってもPVがポップな色で満たされていて、とてもかわいいのだ。

ただし、ハングルがわからない身にとっては曲名の特定が一苦労だ。画面を見つめたところで曲名を探す手がかりがないため、Shazamという曲名特定アプリをかざしてみると…きた! というわけで、無事Primaryというアーティストにたどり着くことができた。


Wikiによれば、このPrimaryは音楽プロデュースおよびHip-Hopの人として認知されており、今では多数のアーティストとコラボしてはアルバムを出しているようだ。M-floみたいなことなのかな。もっとも、Primaryは一人だけど。Primaryは昔、目とクチバシがかかれたダンボール箱をかぶって登場していたらしい。日本にもBeat Crusadersとかセカオワのピエロの人とか、かぶりものするミュージシャンいるから、そういう系統ということかしら。DJの被り物という意味ではセカオワの人に近いか。

この1曲がいいだけでなく、過去の作品にも魅力的なものがたくさんあって、YouTubeあさりがやめられなくなった。とくにこのLena Parkを迎えた"Hello"という曲とか。

iTunesで2017年8月に出たアルバム"Pop"を購入して聴きまくっている。勢いに任せてフルアルバムを購入したが、はずれはない。K-Popには疎い私だが、ファンが多そうなグループ、GOT7のJBが参加している"Hush"という曲も収録されている。素敵なバラードに仕上がっており、GOT7ファンだったら間違いなく魅了されるだろうなぁ。私は"DIET"という曲も好きだ。

マヌーシュ・ジャズ・ギタリストRomaneが作曲を手掛けたアルバムをJil Caplanが発表。

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日本では90年代に日産グロリアのCMで話題になったというフランスのヴァリエテ(いわゆるフレンチポップス)歌手、ジル・カプランJil Caplan。ソルボンヌ大学現代文学専攻、演劇の授業で彼女のプロデュースや楽曲提供を手掛けるJay Alanskiジェイ・アランスキに出会ったとか。ファーストアルバムを出したのは1987年だが、その後は歌手活動のみならず、舞台の脚本家としても小説家としても活躍していたそうな。そしてそのファーストアルバムから30年、前のアルバムから10年たった2017年3月に、8枚目となる新たなアルバム"Imparfaite(邦題は「未完成」"をリリースした。収録曲はロマーヌはじめ、レジノサンLes Innocentsのギタリストであり、ジル・カプランのパートナーでもあるジャン-クリストフ・ウルバンJean-Christophe Urbainなどが作曲やアレンジを手掛けている。アルバムでは、あのマヌーシュ・ジャズの貴公子、トマ・デュトゥロンThomas Dutroncや有名なプロデューサーであるベンジャマン・ビオレーBenjamin Biolayも参加しているとか。ベンジャマンは、フレンチポップス好きならコラリー・クレモンCoralie Clémentの兄というともう少しピンとくるだろうか。

(余談だが、このベンジャマン、今、フランスのネット経由で人気になった歌手、グレゴワールGrégoireが彼が娘を想って過去に作った曲"Ton Héritage" を盗作したとSNS上で告発し、ニュースになっていた。さぁ、どうなるかな。)。
www.lefigaro.fr

アルバムのプロモーションの意味もあり、フランスの番組で生演奏をした模様だ。もちろんRomaneも登場している。
Tout Ce Qui Nous.

Est-ce Que Tu M'aimes

そして昨年末にはなんと来日コンサートもやっていたようだ。知らなかった…。舞台裏の動画も発見した。これを見ると、マチュー・シャトレンMathieu Chatelainも来日していたのかしら。ちょっとみたかったな。

(SONG X LIVE 050)優河 × ジル・カプラン with ロマーヌが出演、Tokyo Walker 海外交流コンサート "TANDEM" 開催のお知らせ。

ジル・カプランあるいは優河を目当てに来たお客さんがマヌーシュ・ジャズの魅力に開眼してくれるといいね。

サウンド・オブ・ノイズのいいノイズ。"Doctor, Doctor - Gimme Gas in my Ass."


2010年、フランス・スウェーデンヨハネス・スターン・ニルソン&オーラ・シモンソン監督、Sound of Noise

主人公は、音楽一家に生まれたのに生まれつき音痴で刑事をやっている男、アマデウス。(モーツァルトを想起させるファーストネームなのに音楽に関係ないところが、すでにお気の毒な感じ)。ある事件にメトロノームが使われているのをつきとめてから、二人組の音楽テロリストを追う。一方のテロリストは、腕利きのドラマーを多くスカウトして、前代未聞の壮大な音楽的実験を行おうとしているのだった…。

ストーリーはちょっとナンセンスというか…アマデウスの立場もわかるが、気に食わない音楽が聴こえないとか、テロリストが利用した「音源」は聴こえないとか、ちょっと共感しにくい。それでも、街中のものを使った壮大な音楽はちょっと感動する。もっとも、いくら音楽的に素晴らしかったとしても、それにしては払う犠牲が大きすぎると思うが。シュレッダーでお金を裁断する音とか、「別にお金じゃなくてもいいよね」と思ったり。もっとも、舞台が銀行だったら仕方ないという気もするが。
ただ、病院を使って行われたこの音楽はカッコよくて感動した。いや、これがよすぎて他のストーリーや音がどうでもよくなったという感じか。

もっとも、入院するはずがこんな感じで体を使われるのは、たまったものじゃないが。

「花の降る午後」~宮本輝作品はすぐに没頭できるものばかり。

花の降る午後 (角川文庫)

花の降る午後 (角川文庫)

宮本輝さんの作品はだいぶ昔に人に勧められて、「錦繍」「オレンジの壺」を読んだくらいだった。いずれの本も当時はかなり集中して読んだ記憶がある。今日、たまたま実家の本棚にあった「花の降る午後」を何気なく手にとって読んでいたら、そのままページをめくる手が止められなくなり、そのまま3時間あっという間に読み切った。

舞台は、神戸のフレンチレストラン「アヴィニヨン」。亡くなった夫、義直と義母の意思を次いで、このレストランを切り盛りする女性、甲斐典子が主人公だ。レストランは、フランスで修行経験のある加賀シェフ、レストランで長く経理等の仕事をしている葉山をはじめとした、気の置けない店員たちで成り立っている。加賀の料理を目当てに、多くのお客様が訪れる人気のお店だ。
「白い家」は、典子の夫が生前に購入してくれた絵画だ。ある日、この作品を描いた画家、高見雅道がお店を訪ねてきて、「個展をひらくので、この絵を貸してほしい」という。その絵を貸したことがきっかけとなり、生前の夫から典子に宛てたメッセージが見つかり、ここからドラマがはじまる。隣人や典子と接点がある人がやたら国際的なのが印象的。そして、典子の恋や店の所有権の行方等が大きく変化していくのだ。
もちろん小説だし、こんな展開あるわけないじゃない!とにわか信じられないが、なぜだろう、読ませるのだ。ついつい夢中になってしまう…。「宮本輝は一度読み始めたらやめられない」という私の思い込みは、いっそう強まったのであった。

けいこと日本人

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鎌倉在住の観世流能楽師で、自ら教育者として教壇に立っていた中森昌三氏による教育論の本。時に差別的といわれそうな極論も織り交ぜながら、かなり自由に思いの丈を綴った本だった。要は今の(というか執筆当時の70年代後半)の教育は、自由や平等を履き違えた結果とんでもないことになっている。教育は稽古であり、見習うべきだ、という話だ。

 

この中のけいこに関する論議が役立った。

稽古とは、高度な内容を自分の意思で有識者から伝授してもらうことをさす。夢の世界に身を置くことで、雑事を忘れ気分転換をするものだ、とのこと。

では、そのルールとは何か。中森氏によれば、1)師匠の言うことは全て正しく、全面的に従うべし。

2)一度選んだ先生は変更しない

3)先輩後輩の序列は守る

4)先生は公平であるべし

5)弟子は習うものの好みを言うことは極力遠慮すべき

とのこと。この項目が何故そうなのか、中森氏の心の声も本には書かれている。

 先生を尊敬し、信心深い人こそ上達がはやい。先生もお稽古では絶対の存在であるべきだが、権威を錯覚せず、稽古場を離れたら日常に戻らなければならない。不易なるもの、つまり整理体系化された真理を学ぶのがお稽古。上達のためにおさらい会は必須。おさらい会では、順序や節が完璧なのが当たり前…など、耳の痛いこともあれど、お稽古事について考えるよいきっかけになった。

こんなことを踏まえて、お稽古事も頑張りたいね。 

 

 

けいこと日本人 (玉川選書)

けいこと日本人 (玉川選書)

 

 

サカナキュイジーヌ RYO@小田原にて、美味しい地魚を。

小田原界隈に暮らす友人とランチに行った。小田原駅の地下街もかなり魅力的だったのだが、少しゆっくりしたくて、オススメだという魚料理やさんへ。

 

なんとなく煮魚に惹かれて、煮魚と地魚のお寿司を頼んでみた。3,000円しないくらいのお値段だったかな。

 

出てきた煮魚はこちら。おしつけ、と言われて、思わず聞き直す。だって初めて聞いた名前なんだもの。どうやら、おしつけは小田原での呼び名で、別名はアブラボウズというらしい。脂が多くて、お腹を壊す人が多いから、毒味を要する魚を意味する女中言葉でおしつけと呼ぶとか。道理で、知らないわけだ…。

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プリプリで食べごたえもあり、脂ものっており煮魚にぴったり。小田原にきて小田原の人が大晦日や正月に好んで食べる魚料理にありつけるなんて、幸せすぎる。幸先良いぞー。

 

お寿司は、オナガダイ、カマス、メジナだったかな。身が厚く、弾力がすごいのは、新鮮だからかな? 美味しかった。

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帰りも小田原に寄っちゃおうかなー。