パクチーハウス東京にさようなら。

5年ぶりくらいにパクチーハウス東京へ赴いた。3月10日に閉店してしまうとのこと、すごく良いタイミングでこのお店のことを思い出したんだなぁ。
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気が付いたら、パクチー柄のビールジョッキやらお箸やら、グッズが充実していた。

久しぶりすぎて、比較するすべはない。量とか、「Lサイズなのにこんなに少なかったっけか?」みたいなものもあったけれども、パクチーへの愛を感じる料理ばかりで、美味しかった。珍しいところでは、パクチーのお浸しとか、パクチーを練りこんだパンとか、かな。


パクチーのかき揚げ、パスタ、春雨サラダといった王道系にははずれはなかったな。お肉とパクチーの組み合わせ、あるいはパクチーと里芋とみそ、鯖などを混ぜたディップも美味しかった。



いくらでも食べられそうだったのは、ピータン、豆腐、パクチーをぐちゃぐちゃにしてつぶして食べるというもの。お酒が進むぞー。

なくなってしまうのは残念だけれども、また何か面白いお店を始めるのだろうなぁ、店主の方は。

私の少女

チョン・ジュリ監督、2014年、韓国、도희야

舞台は韓国のある田舎町。若手の働き手はたった一人で、残りの仕事(カキの養殖?)をインドかどこからかの外国人労働者が担っているという閉塞感ある街だ。ここにソウルから赴任したのは、ペ・ドゥナ演じる女性警察所長、ヨンナム。赴任してさっそく、多くの問題を目にする。その最たるものが、学校でもいじめられ、家でも祖母や父親に虐待される少女、キム・セロン演じるドヒだ。ある事件がきっかけで、ヨンナムが僻地に異動することになった理由が明らかになり、そして、ヨンナムはあらぬ誤解を受けることになるのだった…。

終わってみれば印象に残るのは、ドヒが生きるためにつく、逞しいウソの数々だ…。ドヒはヨンナムが所長であり、権力者だから自分を守る人と認識してなついたようにみえる。そして、窮地に陥ったヨンナムを救うために、父親を相手に「ひと芝居」打つのだった。生きる知恵とはいえ、なんという恐ろしい、そして逞しいことだろうか…。若い警官が、その人となりを「小さな怪物」とたとえて説明するシーンがあるが、まさにそんな感じ。こうなると、もはやその涙も信じられないし、本心もわからない。
ヨンナムも所長という出世する立場であるとはいえ、ある意味その性癖?から一生何かと誤解を受けて暮らす日々が続くだろう。映画は一応Happy Endだとは思うが、何とも言えないわだかまりが残る映画だった。

フランス国立視聴覚研究所(INA)のDidier Lockwood祭り

フランス国立視聴覚研究所INA(Institut National de l'Audiovisuel)はここ数日、ディディエ・ロックウッドDidier Lockwoodの映像を立て続けにアップしている。

まずはこちら。1984年に撮影された、クリスチャン・エスクーデChristian Escoudé とフィリップ・カテリーヌPhilip Catherine との共演の様子が含まれている。まだ30歳に満たない頃の映像だと思われる。

ギタリスト、ジャン-マリ・エカイJean-Marie ECAYとの共演によるNuages。

こちらは、ミッシェル・ペトルチアーニMichel Petrucciani とのデュオ映像。ディディエが40歳頃の映像になるのだろうか。

まとめて楽しみたい方は、こちらのダイジェスト映像からどうぞ。

Festival du Haut Limousin 2017に出演するDidier Lockwood。 "Hommage à Stéphane Grappelli"

昨日のディディエ・ロックウッドDidier Lockwood突然の訃報を受け、音楽サイトやジャズサイト、そしてかつてディディエが出演したことがあるジャズフェスティバルのFBアカウント等が次々と追悼コメントや記事を出している。追悼の意を込めて、ディディエがフェスやイベントに出演した際の演奏風景をアップするサイトも見受けられる。ファンは当分の間、多くの映像を楽しむことで、「デディエ・ロス」から免れることができるであろう。

ディディエがいかに偉大な功績を残したのか、ジャズや音楽業界がこの逝去にショックを受けている様子を伝えるニュース映像もたくさん公開されている。ニュースでは、彼のおおらかな人柄、偉大なミュージシャンとの共演歴はもちろん、ディディエが4,600以上のコンサートを行い、35枚以上のアルバムを残してきた、とその功績を説明している。

さて、フランスはオート・ヴィエンヌ県で開催されているクラシックの祭典「Festival du Haut Limousin 2017」に出演したときのディディエのライブの一部が昨日急遽公開された。
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撮影は2017年7月26日。"Hommage à Stéphane Grappelli"と銘打ったコンサートだったようで、ギターのアドリアン・モワニャールAdrien Moignardが共演している。自らMCも行って観客を盛り上げ、演奏すればとっても華やか。素敵なヴァイオリニストだったなぁ。

R.I.P. Didier Lockwood...マヌーシュ・ジャズの発展に貢献した仏バイオリニスト

ディディエ・ロックウッドDidier Lockwoodが亡くなったという訃報が飛び込んできた。享年62歳。2月17日にパリのbal Blometというところで行われたコンサートの直後に起こした心臓発作が原因で、亡くなったと報道されていた。まだ若くて活躍が期待されるヴァイオリニストだったのに。

ディディエはフランスのカレーCalaisという、ドーバー海峡に面した町にて1965年に生まれた。父親が音楽教師だそうなのでその影響もあるのか、7歳よりヴァイオリンを開始、地元のコンセルヴァトワールを出て、17歳でフランスのプログレッシブ・ロックバンド、Magmaのメンバーとしてデビューしたという。
私が知っているディディエは、2000年にDreyfusからリリースされた、"Tribute To Stéphane Grappelli "というアルバムあたりからかな。Biréli Lagrèneも共演しているということから、本作品を入手したのだった。
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ただ、ディディエの活動はマヌーシュ・ジャズにはとどまらず、多方面にわたっていたようだ。2001年には、フランスのダマリー-レ-リスDammarie-les-Lysという場所に、音楽学校" Centre des musiques Didier Lockwood(ディディエ・ロックウッド音楽センター)"を設立し、生徒の指導にあたっていた。また、無料でミュゼットやマヌーシュ・ジャズが楽しめるフェス"Festival Jazz Musette des Puces"を主催するなど、目立った活躍をしていた。
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2017年11月には、アンドレ・チェッカレリAndré Ceccarelli、アントニオ・ファラオRomain Antonio Faraoらと "Open doors"というアルバムをリリースしており、このプロモーションのためにもライブに精を出していた矢先だった。

訃報を伝える記事は、英語、フランス語、ドイツ語、スペイン語等でも出ており、ディディエが世界で活躍していたさまがよく伝わる。また一人、素敵なミュージシャンがこの世を去った。どうぞ安らかに…。

煮干そば虎愼@中野新橋


空腹すぎたある日の午後、こちらのラーメン屋さんに立ち寄ってみた。神奈川県相模原にある虎空、というラーメン屋さんの二号店といわれているそうだが、そもそも元のラーメン屋を知らないので、比較しようもないか。

店内のキャパシティは6名分くらい? だいぶこじんまりしている。食券販売機のあるあたりにすでに2名が座っていると、それだけでなかなか身動きがとりずらいようなお店だ。男性がおひとりで切り盛りしている感じだった。


「味玉煮干しそば」をオーダーしてみた。非常に洗練されたラーメンの器に、美しく盛り付けられたラーメンがきた。


お出汁がすんでいて、あっさり目だが煮干しのお味はしっかりしている。チャーシューは軽くあぶられていた。付け合わせにカイワレとネギ、それにメンマ、もちろん(味玉付きなので)味玉も。チャーシュの量もちょうど良く、味玉の半熟度合いも私の好み。おいしくいただきました。ごちそうさまでした。

成田美名子画業40周年記念「花花能」@GINZA-SIX観世能楽堂


成田美奈子といえば、私は、「エイリアン通り(ストリート)」と「CIPHER(サイファ)」の世界にハマって、NYにあこがれたり絵ハガキセットを購入したりした記憶がある。が、その後の彼女の作品はあまり知らずにいた。でも、実は1977年にすでにお能を観に行っていて、2000年になってから「花よりも花の如く」というお能を題材にした作品を描いていたとは、仲間内の紹介で知ったのだった。

3日にわたって開催されたこのイベントでは、現在連載中の漫画でも主人公が舞った作品を中心に構成されたプログラムとなっており、出演者もそれぞれ豪華。2日目には観世銕之丞氏と成田美奈子氏の対談もあったとか。私は、舞囃子「天鼓」、狂言「蝸牛」、能「土蜘蛛」の3本立てで構成された3日目のプログラムをみにいきました。S席のお値段が少し高いな…と思ったが、記念イベントだし狂言はシテが野村萬斎氏でしかも私が初めてお能教室か何かで鑑賞した「蝸牛」だし、、記念の手ぬぐいももらったし、まあよしとしよう。

「土蜘蛛」は、舞台上に蜘蛛の糸(を模した紙テープ)が飛び交うのだが、「え、こんなに!?」というくらい蜘蛛の糸だらけになっていて、ちょっとびっくりした。もはや、独武者は刀を振りかざすも蜘蛛の糸が切れないくらいのボリュームだ。漫画を読んだ人曰く、糸を多くまくようなシーンが漫画にあるとかで、それを模したんだろうともいっていた。演じている人もよく冷静でいられるな…。

こちらは、「土蜘蛛」にもご出演されていた、鵜沢久氏・光氏が指導に入っている、洗足学園音楽大学の発表会の様子だが…やはり、そんなに蜘蛛の糸は出ていないよね!?

「土蜘蛛」の笛は、能楽一噌流十四世宗家の一噌庸二氏で、これまた初の鑑賞経験だった。まだお能の本当の楽しみ方がよくわかっていないから、ついつい些末なことばかり印象に残ってしまい悲しいのだが、機会をみつけてまた観に行きたいと思う。