そして夜は甦る

そして夜は甦る (ハヤカワ文庫 JA (501))

そして夜は甦る (ハヤカワ文庫 JA (501))

私立探偵・沢崎が事件を解決する探偵小説。
作者はかつてフリーのジャズピアニストだったらしいが、そういうバックグラウンドが存分に活かされた背景描写が目立つ。そして、舞台となっている都内新宿、中野、荻窪あたりの描写の細かいこと。建物の描写に至るまで現実に忠実であるため、このあたりが地元の人間にとっては、舞台が容易に想像できる。

本作が刊行されたのは、もう20年以上も前のこと。それゆえ、探偵の情報取得手段、他人との連絡手段が、受け付け代行サービスだったり留守番電話だったりするのが、大変まどろっこしく感じてしまう。スピード感がなぁ…他の描写が細かいだけに、通信手段部分の時代遅れ感が逆に目立ったのかもしれない。

そういえば、一世を風靡した海外ドラマ「24」がある。これが1994年に行われたらどうなるか、というパロディ映像を思い出した。

「24」のスピード感、まったくなし…。
時代が変われば、小説だって、変わらなきゃ、なのかもしれない。