曹斐(ツァオ・フェイ) Live in RMB City@資生堂ギャラリー


from the image "Live in RMB City"
http://www.shiseido.co.jp/gallery/current/html/

中国は広州生まれで、現在は北京在住の若手アーテイスト、ツァオ・フェイ(Cao Fei)の、オンライン仮想空間「セカンドライフ」を使ったアート作品をみにいった。彼女がつくったセカンドライフ内の仮想都市の名前が、展示タイトルにもある「RMB City」だ。実際に中国っぽい建築物がたくさん並ぶところらしい。そして、ツァオ・フェイは、仮想空間内で「チャイナ・トレイシー(China Tracy)」という名前のアバターで活動している。

この展示会のことを知ったとき、なんとなく、仮想空間内でつくられた建築物をキャプチャしたものが、額縁に入れて飾られているのかと思っていたが、これは勘違い。実際は、すべて映像作品となっていた。2007年のべネチア・ビエンナーレで発表された、彼女の初期の作品であり、かつRMB City構想の元となった作品「i.Mirror」をはじめとした6作品が上映されている。

RMB cityプロジェクトとは、2年間にわたって世界各地の美術館を巡回しながら、同時にセカンドライフ内のRMB Cityも変化していくというプロジェクトということだ。ということは、ここで展示されているものは、セカンドライフ内ではすでに過去となっており、さらなる発展を遂げているということか。展示作品のなかには、セカンドライフ内のテレビ番組にチャイナ・トレイシーが出演して、RMB cityプロジェクトについて語っている映像がある。トーク番組で、ホストもゲストも姿はアバター、でも語っているのは、リアルな人間であり…もう〜なんだかよくわからなくなってきた。"Live in RMB City"というRMB Cityの案内映像作品では、チャイナ・トレイシーと、その仮想息子チャイナ・サンの、現実と仮想の世界についての話をききながら、ますますわけがわからなくなった…。

そもそも、中国的世界を表現した都市とはいえ仮想世界なのに、なぜいかにも現実的な、人民元(Rénmínbì)を示すRMBという名前を付けたのかしら。敢えてもう少し夢見がちな名前にしなかった理由も、きっと何かあるのでしょうね。