インビクタス/負けざる者たち


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クリント・イーストウッド監督作品、2009年、アメリカ。

南アフリカの実話に基づく。モーガン・フリーマン演じる南アフリカ初の黒人大統領ネルソン・マンデラが、ラグビーワールドカップ南アフリカ代表チームであり、南アの白人優位社会の象徴でもあった「スプリングボクス」を敢えてサポートすることで、国に変化をもたらすまでを描いた作品。

社会の変革を描きつつも、ラグビーチーム内の人間関係でも、マット・デイモン演じるラグビー主将ピナールの家庭でも、そして、マンデラ氏の人種混成ボディーガードチームの中でも、アパルトヘイトの爪跡がたくさん残っているのだけれども、ラグビーチームの台頭とともに、社会の隅々にある「わだかまり」が消えていくのがよくわかる。もっとも、異人種間の緊張感が映画内で垣間見れるのはほんの一瞬だ。「実際そんな甘くないだろう」と冷静に観ると、映画の魅力は半減してしまうかも。ただ、余計な描写がほとんどなく、構成もきちんとしているので、地味ながらメッセージはきちんと伝わる映画だった。

後半のラグビーワールドカップ決勝戦の風景が丁寧に描かれているので、その迫力に触れるには映画館でみるほうがいい。あとは、タイトルにもなっている、獄中のマンデラ氏の心の支えだったという英国詩人ウィリアム・アーネスト・ヘンリーの詩「Invictus」が印象に残った。

Invictus by William Ernest Henley

Out of the night that covers me,
Black as the Pit from pole to pole,
I thank whatever gods may be
For my unconquerable soul.

In the fell clutch of circumstance
I have not winced nor cried aloud.
Under the bludgeonings of chance
My head is bloody, but unbowed.

Beyond this place of wrath and tears
Looms but the Horror of the shade,
And yet the menace of the years
Finds, and shall find, me unafraid.

It matters not how strait the gate,
How charged with punishments the scroll.
I am the master of my fate:
I am the captain of my soul.

映画で何度も出てきたのは、最後の2行。
「私がわが運命の支配者であり、私がわが魂の指導者なのだ」ってね。