穂花「籠」(穂花、著)

穂花 「籠(かご)」―BIOGRAPHY OF HONOKA

穂花 「籠(かご)」―BIOGRAPHY OF HONOKA


壮絶な幼少時代を経て、看護師からAVの世界へ足を踏み入れ、アダルト放送大賞を受賞後、AVを引退しタレントを目指しているという、穂花氏の自叙伝である。家族による暴力や児童施設での暮らし、自殺未遂に誘拐など、さまざまな困難を超えた…という触れ込みで話題になっている本だが、過去の思い出話では終わらない。確かに信じられないくらい悲惨な話も含んでいるものの、実は、望んだわけではないAVの世界に入ってからの彼女の決意や行動の切り替え、そして、その後どうやって自分の道を形作ってきたのか、というところにもきちんとページが割かれていて、勇気づけられる内容になっている。

彼女の中で触れられたくない部分に関しては、筆致が鈍っているような気がして、そこにものすごいリアリティを見出すことができる。人間不信になりそうなくらい、家族にまでいろいろな目に遭わされているのに、彼女の家族への愛が見えたときに、思わず涙が出た、そんな本。