- 作者: 筒井康隆
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 2006/10
- メディア: 文庫
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断筆宣言をしたなどの話題で名前は知っていたのに読んだことがなかったから、手をつけてみたこの短篇集。一話目を読んで思ったのは、中学生の時に夢中になって読みあさった星新一ショートショートの黒世界バージョンだなぁと。小松左京、星新一と並んで「SF御三家」ということを後で知った。つまり系統は同じなのね。
でも、星氏の描く未来はほのぼのしていたのだが、この方の世界は、日本の会社員が、あるいは家族が送っている、何気ない暮らしがありえない方向に転じているので、もっとドロドロしている。ときに皮肉も交えていて、それがおもしろい。
「底流」という話には、人の意識が読める男の話が主人公だが、この話をみながら「サトラレ」というテレビドラマを思い出していた。
http://www.tv-asahi.co.jp/satorare/
そして、人の中で渦巻く思想を文章で書くと、こんなふうになるんだ…と妙に感心してしまったり。でも、何と言っても「佇むひと」は最高にシュールだ。こういう話を思いつく人は、どういうアタマの構造をしているのだろうか。