歴史菓「糊こぼし」@萬々堂通則

関西に長く暮らす祖母のこだわりから、関西でしか入手できない品々は一通り目にした気がする。が、このお菓子は、初めて「お水取り」の時期に滞在した奈良で、今回初めて目にした。それが、この「糊(のり)こぼし」だ。

このお菓子のモチーフは、ただの椿というわけではない。
2月末から3月にかけては、東大寺二月堂で752年(天平勝宝4年)より始められた行法「お水取り」がある。この間、須弥壇の四隅を飾る椿の造花「糊こぼし」をかたどってつくられたのが、このお菓子というわけだ。

店頭に並ぶ時期が大変短いうえに、日持ち3日程度の生菓子であることから、県外で見掛けることはまずない。色味もきれいだし究極の季節菓子なので、この時期、店頭で見つけたら迷わず買うべし。

練りきりってそんなに好きではないけれど、色味がキレイだったり、季節ものだったりすると、眺めているだけでうれしくなる。今回も、珍しさがうれしくて、ついついおいしく平らげてしまった。

ちなみに、私が買ったのはこのお店「萬々堂通則(まんまんどうみちのり)」。春日大社の祭礼に供えられる唐菓子の「ぶと」をアレンジした奈良の名物菓子「ぶど饅頭」も売っていた。このお店がぶど饅頭の元祖だということは、後で知ったのだが。こし餡を皮で包んで揚げて砂糖をまぶした、古代風あんドーナツだ。これまたおいしかったぞ。
http://www.manmando.co.jp/