今ベールを脱ぐ ジェントルマンの極意(著、寛仁親王)

今ベールを脱ぐ ジェントルマンの極意

今ベールを脱ぐ ジェントルマンの極意


ヒゲの殿下で親しまれている、寛仁親王殿下によるオシャレ指南本。「本物とは何か」という巻頭エッセイ、それに、殿下のIVYの師匠であるくろすとしゆき氏、大学の先輩でファッションリーダー的存在だった虎屋17代目・黒川光博氏、父子二代の皇室テイラー・服部晋氏の3者それぞれとの服飾談義で成り立っている。

私みたいに実は男性ファッション誌好きで、Beginやメンクラを愛読している人にとっては、とくに、殿下が英国留学時に学んだファッションの話や、本来のツイードジャケットの当て布の在り方など、ファッションの細部にまで及ぶうんちくが楽しい。

殿下によると、本物とは原点を知ってそれをマスターすること。まずは原点をマスターしたうえで、その余白のどこかを崩すことがお洒落の一部になる、とのこと。なるほど。また、くろす氏が本の中でおっしゃっていたように、ルールがもう決まってしまっている、たとえばユニフォームやフォーマルウェアの枠組みのなかで、個性を主張できる人というのが本当のお洒落だ、ということに共感した。「枠組みの中で」「すでに定められたルールのなかで」というのが、ポイントだし、大いに共感したのだった。ちょっと前に話題になった、どこぞやのオリンピック選手の服装論議についても、この本を読めば、あれは実際どうだったのか、きちんと考え直すことができるかもしれない。