インターネットと中国共産党「人民網」体験記(佐藤千歳、著)

インターネットと中国共産党 「人民網」体験記 (講談社文庫)

インターネットと中国共産党 「人民網」体験記 (講談社文庫)


中国共産党の機関紙「人民日報」のインターネット部門、「人民網」に滞在した、北海道新聞記者の手記。2005-2006年頃、留学しながら人民網の外国語編集部で働いていた若手記者からみた中国の報道への向き合い方がわかる。

最近、上海万博とか、大地震後の美談だとか、日本でもフォーカスされる話題が多いが、これを読むと、中国がいかに発展した国なのかを対外的に示すべく、戦略的に対外的な報道内容が選択されているんだろうなぁ、と思う。なかでも印象的だったのは、言論統制機構の中心となる中国共産党の「中宣部」の話。メディアの報道内容からタイミング、掲載時期まで、すべて完全仕切っているのだから、恐れ入る。これはもはや、パブリックリレーションズの域は超えているよな。

でも、もしもこういう社会に自分が生まれたら、きっと、この強大な力に巻かれて働くんだろうな…。昨日たまたまこんなデモに遭遇したけれど、きっと中国じゃ報道もされないし、これ関連の言葉をつぶやくことすらできないはずなのだ。

駐在している人は、この本読んでどう感じるかしら。まだ読んでいないようなら、北京に住んでいるYちゃんに、この本をあげようと思う。