「瞽女さんの唄が聞こえる」上映会@門仲天井ホール

瞽女さんの唄が聞こえる [DVD]

瞽女さんの唄が聞こえる [DVD]


伊東喜雄監督による、表題の記録映画の上映会に行った。瞽女とは、目の見えない女性だけの、芸能組織といえばいいのかな。400年以上の伝統があるが、今や消えかけた芸能だといえる。

この映画は、1971年、最後の高田瞽女(ごぜ)、杉本キクイ、弟子である杉本シズ、難波コトミの3人の日常生活と、いわば旅芸人である瞽女さんたちの最後の旅の様子を記録したものに、2004年に瞽女宿の周辺に住む人々に改めて取材した映像を加え、2008年に発表された。

当時、目を患った女性が自力で暮らしていくには、按摩さんか瞽女さんか、職業の選択肢は2つしかなく、しかも3歳〜5歳くらいの幼い時分に進路を決定する必要があった。これって過酷だよなぁと思う一方で、三味線や唄を取得して、一日も練習を欠かすことなく、また、身の回りのことも含め、3人でできることはすべて自力でやりながら生きていく姿勢はすがすがしいものがあった。

印象に残ったのは「いつも他人様のおかげで生きている」というキクイさんの言葉。だから、三味線や唄で人を楽しませて、お返しをするし、たとえ報酬を十分にもらえない村はずれの地でも、聞き手が喜んでくれるならどこへでも向かっていく。そして、そのためには、厳しい練習も欠かさない。瞽女さんの話になると、どうも差別問題の話に流れがちだけれども(今回もヨーロッパのロマの生き方の話なども議論に入ってきていた)、彼女たちのように、人との関係をうまく作ることができ、かつ、求められる場所で求められる最高レベルの芸能を披露できた人は幸せだったんだろうなと思う。

なお、今回の上映会では、活弁士の佐々木亜希子氏による、視覚障がい者向け映画説明付きという試みがあった。彼女の所属するグループ「Bmap(Barrier free Moive for All People)」では、視覚障がいの有無にかかわらず、同じ場所で同じ映画が楽しめるよう、活弁を活用して考えていく、という活動らしい。こういう活動は、視覚障がいの方々の意見も取り入れながらゴリゴリやっていってほしいなぁ。