貴重な演奏シーン盛りだくさんの記録映像集。"Nuages"(Norbert Aboudarham)

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"Nuages(ヌアージュ)"というドキュメンタリー映像は、マヌーシュ・ジャズ好きならピンとくる単語なので観てみたら期待通りの映像集だ。ただし、何の解説もないまま、お墓参りのシーンで始まり、その後ジプシーのキャラバンとその周辺で踊る人々が登場した後、Samois-sur-Seineで行われるジャンゴフェスティバルにて演奏をするステファン・グラッペリの映像が出てきた。合間には、マヌーシュコミュニティの暮らしぶりがわかる映像が淡々と出てくる。そこから伺いしれるのは、その暮らしには、いつも音楽が寄り添っている、ということ。ビレリ・ラグレーンがエレキギターをばりばり弾いている時代の映像や、C.EscoudeとMarcel Azzolaの共演を愉しみ、Maurice FerretとJoseph Pouvilleの「黒い瞳(Les Yeux Noirs)"ギター二人羽織"プレイに驚愕した。これはすごい…! 親子を捉えた映像もいくつかあり、とくにDorado Schmittが息子にギターを教える風景もほほえましい。というか、息子ってことはSamson Schmittか!(どこにもそう書いてないけれど…)。 私が初めてみたマヌーシュ・ジャズのライブはサムソン・シュミットをメインに据えたグループだったので、そういう意味でも感慨深い。とにかく、貴重な映像が満載のドキュメンタリーだった。

それにしても、解説がはないのにはマイった。ぼやける画面を必死で眺め、出演者にアタリをつけ、やっと監督にノーベール・アブダラム(Norbert Aboudarham)というアコーディオニストがかかわったことがわかった。監督の経歴を調べたところ、1984年までBratschにもいたことがあり、Maurice FerretやDorado Schmittにも教えを請うていたらしい。この二人も、"Nuages"には出てくるし、要はこれ、マヌーシュ・コミュニティとの強いつながりがあるからこそ、撮影できる映像ということなんでしょう。
ノーベールは自らを"clown-physicien(道化物理学者?)と称しているらしいが、現在、俳優や劇作家などをこなしつつ、ジャンゴの音楽をベースに"Les Bals Clandestins(レ・バル・クランデスタン)"というバンドをやっているとか。

この映像は、ジャンゴの50回忌をきっかけに共演しているグループ、"Quatuor Parisii(クアチュオール パリジ)"との共演風景。ネオクラシックなジャンゴチューンのアレンジが新鮮だ。