シチリア! シチリア!


(Baarìa、監督:ジュゼッペ・トルナトーレ、2009年、イタリア)
150分を超す超大作。たぶん、「シチリア島の美しい風景がみられる映画だわぁ」なんて思っていると、期待を裏切られることになるかもしれない。実際は、トルナトーレ監督の故郷であるシチリア島の街バゲリーアを舞台に、南の現実(貧困、マフィアの台頭、WW2、爆撃…)を描きだした上で、それでも決して暗くはない暮らしや愛を感じることができる映画だ。しかも、歴史的背景等多少わからないと内容の把握が厳しいかも…というくらい場面展開が早い。そんななか、きちんと最後には一本の筋に統一されるように、あらかじめ細かい伏線があちらこちらに張り巡らされている。結末もあっという展開。こんな複雑な展開を美しくまとめてくるあたりがベテラン監督の業なのでしょう。

何せ音楽はエンニオ・モリコーネということもあり、カメラワークに新鮮味を感じる部分もあるとはいえ、トルナトーレ節ばりばりである。でも、この人はやはり映画がものすごく好きで、何があっても故郷が好きなんだな、ということがよくわかった。
最後、思わず涙しちゃったのは、モリコーネのせいなのか、結末のせいなのか、自分でも謎である。