ぐるりのこと(梨木香歩)

ぐるりのこと (新潮文庫)

ぐるりのこと (新潮文庫)


タイトルをみて、あの映画「ぐるりのこと。」が思い浮かんで、「原作かな?」と手に取った。去年観たばかりで記憶に新しかったから。

第二回つながり映画祭@UPLINK Factory渋谷 - 空間Annex
でも実際は、梨木香歩氏のエッセイ集だった。詩人であり児童文学者(映画にもなった「西の魔女が死んだ」が有名なのかな)であるこの人の文章って、どうしてこうもみずみずしいんだろう。

「ぐるりのこと」というタイトルは、茸の観察会の指導者である吉見昭一氏の「(前略)自分のぐるりのことにもっと目を向けてほしい」という言葉からきているらしく、この"ぐるりのこと"という言葉に梨木氏が心奪われ、連載のタイトルをこのようにしたらしい。まさに、自分の身の回りのことを指す単語だが、彼女の描く「ぐるりのこと」は、自分の立ち位置を確立した上で、ものすごく広い世界をきちんと観察してかかれていて、大変読み手があるなと思った。英国、トルコ、ロマの暮らしについても綴られているエッセイがあるので、ちょっとした旅のお供にもおもしろいかも。
なお、このエッセイを読んで、以下の2冊も読みたくなった。あとでチェックしてみようっと。
1)村田エフェンディ滞土録(梨木香歩)
100年前の日本人留学生村田氏のトルコ滞在の記録。
2)立ったまま埋めてくれ(イザベル・フォンセーカ著)
ロマ迫害の歴史をつづったルポ