冷たい熱帯魚


(2010、日本、監督・脚本: 園子温
好きになる映画のポイントは、画面をみたす空気だと思っている。そんな私にとって、この映画、娯楽として観るには、ちょっとキツかったなぁ。後半は血の海って感じだし、弱い人の弱みがどんどんえぐれてはがされていく様ってみているのがツラくて、コメディっぽくなっていても笑えなかったりして。
でも、何がすごいって、140分くらいの映画だいうのに、一瞬たりとも飽きなかったところだ…。これ、なかなかないことです。気が付いたら終わっていたという感じ。主役の吹越満氏が豹変していくサマもすごかったが、でんでん氏のキレっぷりがなんともいえずよかった。愛だの希望だのを薄っぺらく主張するような映画が横行するなか、人間、それも人のよさそうな人が案外こんなものっていうのを見せつけられた感じだ。
それにしても映画館が大変混雑していて驚いた。みんな、この映画の筋を知って来ているのだろうか。海外でも上映されるようだが、いったいどう評価されるのか、知りたい気がする。