千五郎狂言会 第10回記念@国立能楽堂

先日行った「新春名作狂言の会」に刺激され、また狂言を観に行った。
新春名作狂言の会@新宿文化センター大ホール - 空間Annex
今回は、2002年から年1-2回行われているという茂山千五郎の会。前回も出演されていた、茂山千五郎氏に七五三(しめ)氏も出ている、さらに茂山家の若手狂言師たちも登場とあって、期待が高まる。

大名狂言「昆布売」は、大名のきらびやかな姿をした姿のシテ方が、ひょんなことからトボけた顔で昆布の売り声をいろんな節をつけてうたうところなど、思わず笑ってしまう。「千鳥」では、若手による舞台。千五郎氏の長男正邦氏が、酒樽をどのようにせしめようかと四苦八苦している姿が滑稽だし、わかりやすい。女狂言の「千切木」は、太郎役を茂山千五郎が務めていたが、嫌われ者で騒がしいのかと思いきや、自分をいじめた者に仕返しをしに回る場面での気弱な感じがなんともいい。舞台には後見を含めて10人も登るところが、また圧巻。また、太郎の女房役が出てくるという、初めてみる展開だったのだが、歌舞伎と違って女らしさはそこまで出さない。でもこれがまたこっけいで、笑わせてもらった。この女役は、芸風が違う東京大蔵流山本東次郎氏が担っている点がポイントだったと、後で知った。
狂言の舞台(いや、茂山家の舞台といったほうがいいのかな)は、狂言にしてはとてもにぎやかで楽しい。狭い舞台で2つのシーンが同時に繰り広げられたり、主人に無理難題な命令をされた人が、主人が去ったのを見計らって「面倒なことになった」「腹たつ」などと心の声を吐き出してしまったり、態度の大きかった人が急に旬となったり内弁慶なだけだったり。こういう人間らしさが垣間見られるのが、狂言の魅力なんだろうな。