イエメンで鮭釣りを(ポール・トーディー著、小竹由美子訳)

英国の国立水産研究所に勤める学者、Aジョーンズは、ひょんなことから、イエメンの大富豪シャイフ・ムハンマドの「イエメンの川に鮭を導入したい」という強い希望に基づいたプロジェクトに巻き込まれていく。果たしてこのプロジェクトの顛末は。
ストーリーも奇想天外ながら、話の筋や状況が登場人物たちのeメールやら手紙、刊行されなかった自伝や雑誌記事、インタビュー原稿、議事録などを通じて語られるところが新しい。政治の駆け引きやらほのかな恋の香りも、物語にいいスパイスとなっている。章ごとに語り口調のみならず、語り手もコロコロ変わるため、本当に筋が終えるのか心配になるのだが、心配ご無用、どんどんのめり込んでしまった。

イエメンで鮭釣りを (エクス・リブリス)

イエメンで鮭釣りを (エクス・リブリス)