ジプシーにようこそ!(たかのてるこ)

ジプシーにようこそ!

ジプシーにようこそ!


旅人である著者が、ジプシー文化に恋い焦がれ、ついにルーマニアのジプシーの家にホームステイする話だ。
ジプシーについて、彼女が定義するには、「過去、未来の概念がなく、今を生きている」とか「"ある"人が"ない"人に与えるのは当然という考えがある」「踊り大好き、派手な服が好き」とかまあ想像がつくが、こうしたことを身を以て体験しているからすごい。タラフ・ドゥ・ハイドゥークスの住むクレジャニ村にまで旅して、お金をたかられたり何だりと散々な目に遭ったそうで、有名だろうが何だろうが、こちらの常識では考えられない行動をとる人たちもいる、ということがわかる。
彼女の好奇心と行動力には関心させられる。そして、カティというジプシーのおばあさんと仲良くなれたのは、この著者のオープンなお人柄の賜物なんだろうな、と思う。だれにでもできるものではないよな。
さて、世界的に「ジプシー」という単語が差別的だということで、報道などでも「ロマ」などと言い換えされているが、日本では、彼らがおらず実害もないことから、もともとジプシーという単語に差別的な意味合いはなかった。むしろ、自由さや旅人の象徴であり、文化や映画が豊かという印象だ。この本でも、それを踏まえて上で、愛情を込めて「ジプシー」と読んでいる。呼び名はあくまでもテニクック、自分が愛情を込めて呼べば、それでいいのだ。
著書は、彼らと暮らすことで人生観すら変わったという。「今この時」を生きる大切さと、自分に正直であることの大切さを思い知ったとか。なるほど。年を重ねれば重ねるほど、自由は失われる気がするしな…なんて考えてしまった。