黄色い星の子供たち


(La Rafle、2010年、ローズ・ボッシュRoselyne Bosch監督)
1942年の夏、革命記念日の二日後に、ヴィシー政権下のフランスにて起こった、フランス国内最大のユダヤ人一斉検挙「ヴェル・ディヴ事件la rafle du Vél d'Hiv」を題材にした映画を観た。
そもそもユダヤ人迫害はナチス・ドイツのものと相場が決まっていたのが、1995年に当時のシラク大統領が国家責任としてこの事件に触れたことで、歴史のタブーが明かされてきた、ということらしい。
映画は、ユダヤ人に対する風当たりが強くなってきたパリ。それでも貧しくも仲良く暮らしていた家族は、ある日の早朝一斉検挙でVél d'Hiv(Vél d'Hiv)という冬季競技場に連れてこられた…。連れてこられた13,000人は、競技場に放置されてから、収容所へ…。
善良な家族は、寛容な国フランスを信じるものの、ヴィシー政権下の軍人は、いい人ばかりではない。口では嘆きつつも、上官に言われるがまま、ユダヤ人たちを扱う。どんな状況下にあっても無邪気なノノがかわいく、状況がすでにわかっているのに子ども扱いのジョーやノノのお兄ちゃんが切ない。
自らも検挙されたユダヤ人医師ダヴィッドと、強い正義感を持つ看護師アネット、そして検挙開始と同時に10,000人ものユダヤ人を匿った、あるいはかばおうとしたという、パリ市民の姿も映画の中にところどころ描かれていて、これが劇中の救いである。こういう優しさに触れるにつき、涙が止まらなかった…。そして、最後の方に流れるドビュッシーの「月の光」で、もう立ち直れないくらい泣いた。

ちなみに、ジャン・レノが出演しているのだが、ヴァイスマン家の父親役だったガッド・エルマレをなぜかジャン・レノと勘違いして途中まで観てしまった。ドジです。