ゴッホの手紙(J.V.ゴッホ-ボンゲル編、硲伊之助訳)

ゴッホの手紙 中 テオドル宛 (岩波文庫 青 553-2)

ゴッホの手紙 中 テオドル宛 (岩波文庫 青 553-2)


ゴッホの手紙 下 テオドル宛 (岩波文庫 青 553-3)

ゴッホの手紙 下 テオドル宛 (岩波文庫 青 553-3)


本当は上巻からあるのだが、今回は中巻から読みだした。中巻では、南仏に暮らすゴッホが、毎回毎回弟のテオに画布だの絵具、つねにお金を無心している。そして、ひたすら絵のことを考えている。そして、ゴーガンとともに暮らすことを願っているのだ。はじめは、あまりゴッホの気持ちには寄り添えなかった。
でも、読み進めているうちに、涙が出るほど哀しくなってきてしまった。絵の才能があって、絵を描くことが大好きで、寝ても覚めても印象派の将来を考えているのに、世間がそれを認めてくれないなんて。下巻では、ようやくゴーガンと暮らすことができたのに、耳を切ってしまったりして、精神も病んでいくのがわかる。そんななかでも、弟とその婚約者を思うところに、ゴッホの優しさを感じる。
才能を持つというのは羨ましいこと。でも、これが理解されないことはつらい。才能を持たないというのは、案外幸せなことなのかもしれない。