- 作者: 桜庭一樹
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2010/04/09
- メディア: 文庫
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直木賞受賞作ということがきっかけで、はじめてこの人の本に手を出した。花、そして花の夫となる美郎、花の「父親」淳悟、淳悟の元恋人である小町…と、登場人物がそれぞれ、ある時代を中心に語っていくことで、花の生い立ちの全貌がみえていくという設定だ。
花は奥尻島の津波で親兄弟を亡くした震災孤児であるという設定は、昨年日本で起こった震災とオーバーラップしてしまい、本書の出版当時よりもリアルに訴えるのではないだろうか。
ある種のタブーが細かく描写されているけれども、実際は、その生い立ちから、本当の親子愛を知らない、かわいそうな人たちの物語、ともいえるのかもしれない。