死神の精度(伊坂幸太郎)

死神の精度 (文春文庫)

死神の精度 (文春文庫)


死神というのが、人間の外観を以て地上に降り立って、死ぬ間際の対象者に付きまとい、死の可否を判定する、という筋にのっとった短編集…と思っていたが、その短編はそれぞれ微妙に筋がつながっているところもあり、おもしろかった。
死神が案外世間ずれしていて、まじめにボケるところには笑ったが、何より印象的なのは、死神がなぜかミュージックに執着しており、人間がつくった一番素晴らしい創造物がミュージックである、といっているところだ。音楽がないと耐えられない…と思っている私は、思わず自分と死神の類似点を見出してしまったりして。