61ha 絆


野澤和之監督の映画、61ha 絆(61ヘクタール きずな)を観てきた。あるMLで情報を得たのだが、その動機は二つ。
1つは、香川県の(確か)女木島に行った際に、大島青松園という国立ハンセン病療養所があることを船乗り場で偶然知り、以来興味があったから。そして、2つめはトレイラーに出てくるご夫婦が、あまりにもかわいらしかったから。
主人公の二人は、東條康江さんと高さん夫妻。タイトルの61haは、この療養所がある島の面積を指し示す。
二人はそれぞれ15歳と18歳の時に、「治療のため3年だけ」という説得で島の療養所に来て、60年が経過…。1907年に始まり、1996年まで続いた国の隔離政策のあおりを受け、つらくなかったはずはない。でも、今の二人にそんな悲痛さは感じられない。歌って、ハーモニカふいて、教会で賛美歌を歌って、短歌で気持ちをうたって支えあって。康江さんは、高さんに対する日々の感謝の言葉を忘れない。60年そんな関係でいられるなんて、なんて素敵なことだろう。羨ましいカップルの日常をとらえたドキュメンタリーだと思った。
私が今回行った上映会はサロン形式といことで、監督や編集の方、そして、監督の師匠である方もいらしていた。それぞれがあいさつをされていたが、監督の師の言葉が印象深かった。「野澤監督は、周縁の人々の暮らしの中に新しいエネルギーの源を見つけてくる達人だ…」。まさに、そうだ。運命に翻弄された二人の、最高の今をとらえた作品だった。
少しでも多く上映機会が得られることを願っている。