海洋天堂

海洋天堂 [DVD]

海洋天堂 [DVD]


2010年、シュエ・シャオルー監督、中国&香港
水族館で働く、父子家庭の父親が、自分の身に起こるある出来事をきっかけに、自閉症の息子・大福(ターフー)の自立を考え出すということ。
もし、自分が死んだら、自閉症の息子はどうなるのか。成人した自閉症の子供を預かる施設はなく、やっと探し当てても、とてもじゃないが大福がシアワセに暮らせそうにはない。これは現実問題、そうなんだろう。
そんななか、父親は、息子が一人残った時のことを想定して、息子への「自立教育」を開始するのだ。どうやってバスに乗るのか、着替え方、どうやってお金を払うのか、人に会ったらどう挨拶するのか、卵はどうゆでるのか…。根気よく、そして、大福の得手不得手を見極めながら。
大福は水の中にいる時の自由さといったら魚のようだ。また、イルカとのコミュニケーション力も秀逸だ。これは、だれでもが得ている能力ではないと思うのだが、日常生活の大部分が自力で賄えそうにない大福も、実は水の中ではだれよりも上手に動けるという場面がうまく表現されていた。また、旅芸人一座のメンバーとしてピエロをしている女の子、鈴々が、家族以外の大福の理解者として配されていたのも、よかった。
それにしても、主人公の父親がジェット・リーだったとは、気が付かなかった。息子役を務めた俳優さんもともに好演だった。