Superstar


(2012年、仏、Xavier Giannoli監督)
Kad Merad演じるある男、その名前はマルタン・カザンスキーMartin Kazinskiという。はっきりいって地味なこの男が、なぜかある朝いきなりスーパースターばりにカメラを向けられる立場になる。でも、本人はその理由が一切わからない。
そんな場面設定を通じて、有名人になるとはどういうことなのか、浮き彫りにした作品だと思う。映画評みると、そんなに評判がよくないようだが、(まあ確かに恋の行方も曖昧だし、自暴自棄になるカザンスキーなんてまったくもって地味で見どころはないし)、でもコメディとしては面白かったと思う。いや、「理解可能だった」というべきか。普通、フランス語でコメディ映画なんて観た日には、理解不能となる可能性の方が高いから。
この映画をみると、有名人になるというのは恐ろしいことだと思う。本人も自覚していないなか、周囲の人々が自分に対するとらえ方をどんどんどんどん変化させていくのだから。
そういえば、マルタンKの職場は、古いパソコンを解体して部品をリユースできるようにする、ということだったが、マルタンはそこでダウン症などのチャレンジドととともに働いている、という設定となっていた。有名人となっていくマルタンに対するチャレンジドを含む身近な同僚たちの姿勢の変化が、映画の中でよいアクセントとなっている。
フランスでは、こういた業界で実際にチャレンジドを採用するケースは多いのかしら。日本ではどうなのか。雇用についても色々と興味がわいてきた。