西馬音内盆踊り―わがこころの原風景(小坂太郎、著)

西馬音内盆踊り―わがこころの原風景

西馬音内盆踊り―わがこころの原風景


初めて西馬音内盆踊りのことを知ったのは、3年ほど前のことになるだろうか。すっかり虜となり、この本を現地で買ってきた。
秋田県羽後町出身の詩人である著者が、西馬音内女性(にしもねおなご)に焦点を当てて、1,000年もの歴史があるこの地元の美しい盆踊りを書籍としてまとめた意義は大きいと思う。
身売りが横行していたというから、決して豊かとはいえない秋田県のこの地区。歴史は長いものの記録が残っていないこの盆踊りのルーツを紐解いていく。そして、日本青年館で主催された1935年の第九回全国郷土舞踊民謡大会への出場をきっかけに、地元女性が中心となってお囃子のフォーマットを拡張(もともと太鼓と笛だったものに、三味線や鼓、鉦を追加)、踊りの衣装も端縫いで統一し、踊りのフォームも今のようにあでやかになったそうな。
音楽としてもとても魅力。秋田音頭のようなラップ的類似性は指摘されているが、この6句(889 889)でおさまる地口がとてもいい。がんけと呼ばれる、後半部分に演奏されるものも情緒深い。
そんなわけで、この盆踊りの魅力が詰まった一冊といえる。