情熱のピアニズム


2011、仏・独・伊、Michel Petrucciani Body and Soul、マイケル・ラドフォード監督
36歳で急逝した偉大なるピアニスト、ミッシェル・ペトルチアーニを、交流のあった人々、とくに関係があった5人の女性たちへのインタビューと過去の映像を通して描き出した映画であった。渋谷のイメージフォーラムで上映されていたが、この類の映画にしてはなかなかの観客動員数のように思えた。
すでにペトルチアーニのドキュメンタリーは一度観たことがあったので、彼の人気者気質というか、奔放でひょうきんなお人柄はなんとなく知っていたのだが、これが女性の目を通して語られると、また異なってきこえる。彼の持つ障害特有の、ライブ中に骨が折れただとかそういう話もあったけれども、これを感じさせないのは、これもペトルチアーニの人柄か。それよりも彼の女性に対する情熱がやけに印象に残った。今好きな人が大事で、自分が結婚しているか否かとか、その人と初対面だろうがなんだろうが気にしないのだろうね。好きなものに貪欲といおうか。もっとも、女性たちは泣かされただろうけれど。
ペトルチアーニはお父様もお兄様も音楽家で、同じ障害を持って生まれた息子さんAlexandre Petrucciani氏もミュージシャンとして活躍していることを知った。この父親を持つこと自体、すでにプレッシャーに違いないが、好きな道で活躍してほしいと思った。

ちなみに私が観たことがあるのは、ペトルチアーニ関連のこのドキュメンタリーはこちら。Arteかと思ったらMezzoのものだった。こちらのほうがライブ映像が多い。そして、息子さんの小さい頃の映像が残っている。もちろん、グラッペリもね。

彼の存命していた時に私も生きていたわけで、生きているうちにライブに行けなかったこと、あるいはこのミュージシャンを深く知らなかったを悔しく思う。だから、知りうる限り、好きなミュージシャンのライブは積極的に行きたいものだ。