Silent Honor (Daniel Steel)

Silent Honor

Silent Honor


ヒロコは、先進的な考えをもつ父親と古風な母親によって京都に育った。大学教授である父マサオの望みに沿うべく、ヒロコはナゴヤ丸に乗って一人カリフォルニアのパロアルトにある叔父タケオの家にお世話になりながら、留学することになった。タケオは日本人だが、日系人の女性と結婚して、スタンフォード大学の教授として長く米国に暮らしている。
ところが、彼女が米国に住みだして数カ月、1941年12月8日に真珠湾の奇襲攻撃が行われ、日米両国は戦争に突入。日本人であるタケオもヒロコも、そして日系二世として米国に生まれ育った彼女の従兄弟たちも、強制収容所に送られることになるのだった…
日系人の遠戚がいる私にとって、第二次世界大戦中の日系人強制収容の話は、非常に興味深い歴史の一端だ。なぜなら、彼らが晩年になるまで、その話をしてくれたことがなかったから。というわけで、この本の存在を知ってすぐに取り寄せ、読み始めた。もちろんふに落ちないところはたくさんある。主人公の名字である「タカシマヤ」に普通の名字じゃないだろう…と思ったり、ここでロマンス、えっとか。男の子にToyoと名付けるあたりとか。(収容所の暮らしを公式にカメラに収めた、著名な写真家の宮武東洋さんの名前から付けているような気がするが、メジャーな名前とは思えない上に、トヨ、という女の子の名前を連想してしまってしっくりこなかった)
まあそういうところはあったけれど、ロマンス系の話を除けば、当時の状況をきちんと書いているという印象を持った。
なんだかんだいいながら話の展開が気になってしまい。うっかりペーパーバッグで読み切ることができて満足していた。しかし「無言の名誉」という邦訳がすでにあるというのを、このブログを書く段になってはじめて知った、という情けない話も。
いつか邦訳も読んでみようっと。