オン・ザ・ロード

2012年、フランス&ブラジル、ウォルター・サレス監督、On the road

とくに大きな旅行もなく過ぎ去っていく夏を悼み、ロードムービーあるいは異国の映画を観に行きたい衝動に駆られたのだ。でも残念ながらピンとくる異国の映画が見つからなくて、ロードムービーの香りがするこの映画を選んだ。
1950年代のアメリカが舞台。自身の体験を元にしたというジャック・ケルアックの「路上」の映画化らしいのだが、ストーリー展開として難しいこの作品の映像化が難しく、紆余曲折を経てやっとウォルター・サレス監督が映画化したらしい。
主人公、作家志望のサルというのが、ケルアック自身のこと。作家志望とはいえなかなか筆は進まず、父親を亡くし、自分の置かれた環境にうんざり?していたサルが、とにかく破天荒で自由で勝手な男ディーンに惹かれて、ディーンと一緒に車で西へ東へと突き進む。ドラッグにタバコ、酒、セックス、ジャズ、そんなものと一緒に…。
なかなかストーリーを口で説明するのは難しい。印象としては、とにかく出演者みんなが退廃的、狂っている、でも楽しいんだろうな、というところ。一人だけ、「なぜこの人の話も映像化したんだろう」と疑問に思った部分もあったのだが、それ以外は、映画の登場人物の誰一人無駄なく、この時代の空気を表現する材料になっていたように思う。
そもそもの映画も即興的ではあったが、映画の中にジャズで踊り狂うシーンが結構出てくる。というか、音楽が、そのシーンのオンオフを表現する材料になっていた、といえるかな。
Yep Roc Haresy!なんてみんなで盛り上がるシーンがあったり。

Gustavo Santaolallaという人が映画のサントラに協力しているのだけれども、音楽が当時よりもかっこいい状態になっているのだはないだろうか。

ロードムービーである側面だけでなく、音楽的にもこんなにいい映画だとは思わなかった。たまには刹那的に選ぶ映画の鑑賞もまたいいものだ。

こちらのWebサイトにある作品解説が、作品の背景を知る上で非常に参考になります。
公開中『オン・ザ・ロード』に登場するビート・ジェネレーションの主人公たち