ロマを知るキーワードとしての"Kali Sara"

トニー・ガトリフ監督の映画"ラッチョ・ドロームLatcho Drom"の中で印象的なのが、この"Kali Sara"のシーン。ここで演奏されている曲"Kali Sara"は、Dorado Schmittが作曲している。この「カリ・サラ」を漠然と「黒いマリア信仰」の一種なんだろうとは理解しつつも、それ以上のことを当時はよくわかっていなかった。
久々に映画の印象的な一節をみたのをきっかけに、よっと調べてみたら、このサラ・カリと呼ばれる聖女は、南仏カマルグのサント=マリ=ド=ラ=メール Les Saintes Maries de la Merに伝わるロマの守護聖人らしいのだ。そして、5月25日あたり、あるいは5月の第四週末に、キャンドルや音楽演奏とともに、この町の教会からサラの像を海に運ぶお祭りがあり、多くのロマが集うという。詳しくはこちらのサイトをどうぞ。よく説明されていて勉強になる。
アンティークアナスタシア 神戸トアロード フランスのカトリック教会、修道院、聖地に関するレファレンス カマルグ サント=マリ=ド=ラ=メール
では、いつからこのこの地がロマの聖地になったかというと、その共通認識がロマの間でできたのは、1971年に各民族の代表が集まった「世界ロマ会議」でのことらしい。"UN PEUPLE-MEMOIRE LES ROMS"という本に、このあたりの話が詳しく載っていそうだ。
カリ・サラを海にまで連れ出すシーンは、ロマ文化、そしてマヌーシュ・ジャズを感じる風景の一つ、だ。ああ、一度こんな風景も実際にみてみたいなぁ。