Robert Papasianが語るマヌーシュ・ジャズの魅力@Radio EIPM

ロベール・パパジアンRobert Papasian氏は、フランスのジャズ・ギタリストだが、現在、スペイン国境あたりのエリアであるアキテーヌ地域圏のポーという町にあるRadio EIPMというラジオ局のジャズ番組で、水曜日に1時間ほどDJをやっているらしい。ギタリストとしての彼は、マヌーシュ・ジャズ専門というわけではなく、ラテン、サルサ、ブルース、アコースティックとオールマイティなようだが、パパジアン氏が一時ジャンゴ・ラインハルトが余生を過ごしたというフランスのSamois-sur-Seineサモワ・シュール・セーヌにも暮らしていたこともあり、マヌーシュ・ジャズにも造詣が深そうだ。実際に、過去の共演者リストにも、バビク・ラインハルトBabik Reinhardt, ダヴィド・ラインハルトDavid Reinhardt, ロマーヌRomane, クリスチャン・エスクーデChiristian Escoudeという具合に、この世界の有名どころが並んでいる。なんといっても、ラインハルトの一族と2代にわたる付き合いがあるというのは、珍しいのではないか。
そんなパパジアン氏が、バビク・ラインハルトとの思い出を語りながらバビクの作品を振り返るという1時間番組を聴いてみた。

Babikの楽曲の変遷を時系列に追っていくので、フランス語がわからなくてもパパジアンとバビックの音楽の変化を楽しむことができる。パパジアン氏のトークの相手をする女性DJの素直な感想も好感度が高い。"All Love"を聴いた後に"Incertitude"という1998年に発表した同じアルバムに入っている曲を聴いて「うわぁ、完全に80年代だ。ジャンゴの曲とは程遠い雰囲気!」なんて感想を述べていた。たしかに、Incertitudeの強烈なフュージョン感と異なり、All Loveという曲は不思議とジャンゴのセンスを感じるのだ。ジャンゴ・ラインハルトのドキュメンタリーのオープニングにもこの曲が使われていた記憶がある。ちなみに、パパジアン氏のトークが一番アツかったのも、1988年に発表されたバビクのオリジナル"All Love"の話だった。
正直、Babikの単独の活躍にそこまで注目したことはなかったけれども、こうして聴くと、演奏はもちろんのこと、作曲能力の高さが印象に残った。Giant StepsにインスパイアされたColtrane Memoryという曲もなかなか。我が家にあるBabik Reinhardtのオリジナル曲ももう一度聴き直してみようと思う。
ちなみに、パパジアン氏はロマーヌRomaneとストーケロ・ローゼンバーグStochelo Rosenbergについても情熱的な語りを展開している。ご興味ある方はこちらをどうぞ。

過去の番組記録
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