マヌーシュ・ジャズ界のシンデレラ? スイス出身バイオリニスト、エヴァ・スロンゴEva Slongoに注目

ギタリスト、ビレリ・ラグレーンBireli Lagreneがジョビンの名曲"Wave"を演奏している映像を見つけた。

素晴らしい演奏、ちょっと風が気持ちのいい、夏の夜にぴったりである。そして気になるのが、共演しているバイオリニストの存在だ。途中、ポルトガル語で歌まで披露していて、これがまたいい感じ。あのビレリと共演するのだから、有名な人なのかもしれない。この動画にはEvaとしか書いていないが、検索していくと、エヴァ・スロンゴEva Slongoという人だということがわかった。
Eva Slongo - Biographie
経歴をみると、元々はクラシックの世界から入ってきており、スイス、フライブルグのコンセルヴァトワールにて音楽教育を学んでから、ジュネーブコンセルヴァトワールにて即興音楽に興味を持ち、ジャズやマヌーシュ・ジャズを学ぶようになったという。あのヴァイオリニスト、ディディエ・ロックウッドDidier Lockwoodの学校でも学んだとか。実際にディディエとも共演してことがあるようだし、ディディエとビレリは一緒にアルバムを出したこともある仲だ。もしかしてそんな縁で紹介されて、ビレリとデュオすることになったのだろうか。
もっとも、すでに彼女はノエ・ラインハルトNoe Reinhardt、セバスチャン・ジニオSebastien Giniaux、アドリアン・モワニャールAdrien Moignardにニニン・ガルシアNinine Garcia...など、若手ギタリスト中心に多数の共演歴がある。何と言っても、ドイツのギタリスト、ワワウ・アドラーWawau Adlerのアルバム"Expressions"に参加した経緯が秀逸だ。ワワウがネットで見つけたエヴァの演奏動画で、その即興性の素晴らしさを見出し、2012年のジャンゴ・ラインハルト・フェスティバルFestival Django Reinhardt@Samois-sur-Seineのジャムセッションで共演した時にその才能を確信した結果、2013年のレコーディングに参加したというのだから。まるでシンデレラのような、才能の開花っぷりではないか。2013年には自信のトリオも結成したそうで、これからますますの活躍が見込まれるヴァイオリニストとなりそうだ。
ちなみに、この"Expressions"というアルバムは、過去に私のアンテナにひっかかっていた模様。その時にかなりこのアルバムに興味を持ったのに、当時はエヴァのことを調べようとまでは思っていなかったなぁ…。
Wawau Adlerのアルバム”EXPRESSIONS”のクリエイティビティ - 空間Annex