西馬音内盆踊り@秋田県羽後町

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秋田県羽後町にて毎年8月16日~18日まで行われる、西馬音内盆踊りというお祭りに行ってきた。ご縁あってその存在は知っていたし、何せ「日本三大盆踊り」のひとつであり、かつ重要無形文化財でもあるこのお祭りなので、イベントに招かれた西馬音内盆踊りを見たことはあったが、本番を観てみたかった。どうしても。
今年は土~月の開催となり、仕事への影響を最小限にできるという、カレンダー的に最高の日取りだった。手配は友達にお任せしたが、まちが積極的に推進している「農家民宿」に泊まることにした。出発前にこんな農家民宿にあこがれていたが、実際に宿泊したところもとても素敵なお宅だった。天井も高く、清潔で、朝ごはんも美味しい。男女年齢問わずよその人と布団と並べるのは、宿坊のような感じでいい経験になる。一人で来ている人もここでお仲間ができるので、楽しめること請け合いだろう。
茅ぶき山荘「格山」 | 茅葺屋根の農家民宿
お風呂に入ることができないのだが、西馬音内盆踊りの会場から30分程度歩く距離のところに温泉もあるので、とくに不自由は感じない。
五輪坂温泉 としとらんど
さて、本題。西馬音内盆おどりは大体7時くらいからお囃子は「寄せ太鼓」で始まって、「おんど」+「とり音頭」と「がんけ」を繰り返す。お囃子は盆踊り会場の真ん中にある櫓の上で演奏される。その編成は、大小の太鼓に笛、三味線、鼓、鉦。笛と三味線は複数で演奏する。大小の締め太鼓は櫓から張り出したところで演奏をするが、打ち方が特殊、かつ魅せる動きで打っていく。音頭やがんけには歌詞が付くのだが、秋田のお国ことばを存分に反映した響きが美しい。響きがまろやかというかなんというか、だれにでも歌えない発音だ。夜も更けゆく22時くらいからは、歌詞がなんとなくセクシーになる。これもまた魅力である。内容が知りたくて「地口集」を買ったものの、肝心の単語は伏字になっていたので、結局地元の人に質問してしまった…。
秋田音頭…表と裏 : 五十雀俗謡集

音に合わせて、踊り衣装(古い衣装を左右対称にはぎ合わせた、"端縫衣装"と編み笠か、藍染めで縁に赤をきかせた浴衣にひこさ頭巾と呼ばれる、目の部分にだけ穴のあいた頭巾)を着た踊り子さんが、踊り会場でかがり火を囲んで輪になって踊る。
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初日の様子。

お囃子の良さもさることながら、顔の見えない踊り手たちが、手先まで気を使うような動きですーいすいと水をかくように美しく踊る姿に感動する。そして、衣装もひとつとして同じものはなく、踊り衣装を観察するだけでもあっという間に時間が過ぎていく。700年も踊りつがれてきたその歴史が、お祭り全体の雅な雰囲気を作っているのだろうか。唯一残念なのは、むしろ観光客の態度…注意されているのに、踊りの輪に入って写真を撮ったり、(中にとどまっているならまだしも、輪から出たり入ったりせわしないことこの上ない)、禁止されている時間帯に踊りの和を横切ってみたり。自分ももう少し年を重ねると、マナーが守れなくなるのだろうか。
観客は、自分もお祭りの風景の一部を担っているという自覚を持って見学をしなければいけないな、と改めて思った。
お土産は、「若返り」という最近復刻された大吟醸酒か泉栄堂の「若がえりまんじゅう」がいいと思われる。ネーミングの勝利。

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お祭りの詳細はこちらのサイトにもある。
ダイドー祭りドットコム2014 | これまで応援した祭り | 2009年の西馬音内盆踊り

また、朝日新聞の、お祭りの様子を伝える記事の写真が美しい。
秋田)宵闇に優美な輪 西馬音内盆踊り:朝日新聞デジタル