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もうひとりの息子


2012年、フランス、監督・脚本・ロレーヌ・レヴィ、Le Fils de l'autre

舞台はイスラエルパレスチナ湾岸戦争のごたごたの中で、イスラエル在住のフランス系ユダヤ人とパレスチナ人の子供が取り違えられたことが、18年も経過してから判明した。両家はどう歩み寄るのか。
日本でも「子供取り違え」に関するノンフィクション作品はいくつかある。「ねじれた絆」がその代表的なものだろうか。これに、さらに国家間のいざこざが絡むとどうなるのか。日々「敵」とみなしていた国に、自分の本当の子供がいるという複雑な状態のなか、両親が、家族が、そして取り違えられた本人たち(ヨセフとヤシン)がさまざまな葛藤のなか状況を克服していく。ストーリー展開上、両家がフランス語にかかわる一家であり、フランス語話者がある程度家に存在しているから、少しは接点があるものの、本当にこういう事件が起こったら、さらに複雑なんだろうな。
劇中も言葉が目まぐるしく変わる。同じエリアだというのに、フランス語を話すシルバーグ夫妻と家ではアラビア語を話すアル・ベザズ家。病院は、両家に取り違えを認める発言をする際、ヘブライ語を使いかけて英語に切り替える。気持ちのわだかまりが抜け始めると、相手の言葉で挨拶くらいはしようとする…。言葉で心情を思い図るのも面白かった。