イザベラ・バードの旅「日本奥地紀行」を読む(宮本常一)

イザベラ・バードの旅 『日本奥地紀行』を読む (講談社学術文庫)
イギリス女性、イザベラ・バードの紀行が好きなのだが、それをやはり大好きな文化人類学者の宮本常一さんが解説するという、またとない本だ。
日本人にとって当たり前のことは日本人の紀行には出てこない…という宮本さんの解説に妙に納得した。イザベラ・バードの紀行には、英国人女性ならではの視点がたくさんでてきて本当に面白い。たとえば、日本人にとって蚤に食われることは当たり前だったし、松尾芭蕉の句にも出てくるくらい当たり前なのだが、英国人にとっては珍しいことだから紀行に出てくるとか。チップを取られなかった、ということが逆に珍しくて紀行の題材になる、など。そのほか、地方都市の衛生概念の問題や子供の地位、着物の着用方法やアイヌ人の暮らし、差別の問題…宮本さんの解説でさらに浮き彫りになることがたくさんあって、興味深かった。