ワイン上手~深く味わう人へのアドヴァイス~

ワイン上手―深く味わう人へのアドヴァイス (新潮選書)

ワイン上手―深く味わう人へのアドヴァイス (新潮選書)

ワインの基礎の基礎を説明してくれるワイン本。今から15年ほど前に出版された本だ。ワインの生産地域の話からブドウの種類、栽培から醸造の話まで幅広い知識を身に付けることができる。でも、素人にとって一番実用的なのは、愉しみ方の章ではないだろうか。
テイスティングの際に使うソムリエならではの表現の、プロの会話における必要性の説明と、だからといって素人がその説明に固執する必要もないこと。外観、香り、色合いの順番でテイスティングするといいということ。料理と合わせることについても、固定観念にとらわれる必要はなく、たとえば料理の色味で考えてもいい、ということ。具体的にいうと、緑色系の料理には緑かかったイエローのさわやかな白、クリーム色の、バターや生クリームをたっぷりと使ったような料理は濃いイエローの白、こげ茶や黒味かかった色の料理には濃い赤、といった具合だ。ワインから料理を考える一例として「ヤキトリ」一品を考えた時に、塩焼き+レモン汁ならさわやかな白で、一味を使うならロゼ、たれなら赤、というように一品でも食べ方次第でワインを合わせることができるという話。さらに、ワインを調味料の一部に使えば、和食でもさらにワインに合わせやすくなる、という話もためになった。
飲み方、温度管理、器だって、世間でいわれているよりもずっと自由でも、十分美味しく楽しめるのがワインである、というのを改めて認識させてくれる一冊だった。