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山の郵便配達

山の郵便配達 [DVD]

山の郵便配達 [DVD]

(1999年、中国、霍建起監督、那山、那人、那狗)

前々から観たいと思っていた映画をとうとう観ることができた。
話は極めてシンプル。山岳地帯に住む郵便配達の父親が、足を痛めたことをきっかけに息子にその仕事を譲ろうとする。山岳地帯の郵便配達はとても大変な仕事だ。犬の「次男坊」を連れ、親子は2泊3日の配達の旅に出る。はじめは父親の配達のやり方に若い息子は反発するが、一緒に配達していくうちに、配達先の人々との交流も郵便配達人の大切な仕事と気が付く。そして父親も息子の成長を目の当たりにしつつ、配達人を始めた当初の若い自分を思い出すのであった。
映画が古すぎてトレイラーのような映像がないのが残念。ただ、中国山岳地方の田園風景は本当に美しくて見とれてしまった。とくに印象的だったのは、トン族の娘との出会いのシーンだろうか。風景も娘も美しいのだが、その後のトン族の結婚式の風景がすごい。

あとで調べてみたら、トン族は中国南西部に住む少数民族で、文字を持たない分、歌で文化や気持ちを伝え合ってきたそうだ。素敵! 村の古い建物である「鼓楼」で行われる歌合戦が皆の娯楽だとか。

NHK世界遺産 | 世界遺産ライブラリー [トン族大歌]

というわけで、作品としては素晴らしいのだが、一方でやはり美しすぎてフィクションに違いない、という思いも強く残る。

最近、中国の農村に関するドキュメンタリーをみた。「三姉妹~雲南の子(ワン・ビン監督)」。この中の世界にある、すさまじい世界のインパクトが強すぎたに違いない。究極に貧しすぎて母親すら逃げた、ある3姉妹の家の物語…この農村ではもはや郵便も何もないでしょ、というすごい現実…。山の郵便配達は作品としては素晴らしいが、これを単なる美談としてとらえてはいけないな、と思ったのであった。