サンシャイン・クリーニング

2009年、クリスティン・ジェフ監督、米、Sunshine Cleaning

かつてチアリーディングの花形だったローズは、今はシングルマザーとしてオスカーを育てながらハウスクリーニングで働く、さえない生活。挙句、地元の警察官の男と不倫に走る有様だ。その妹のノラも気性の荒さが災いして無職となり、父親とすさんだ暮らしをしている。オスカーは問題行動ばかり起こして不登校になっている。そんななか、ひょんなことからお金が必要となったローズは、事故や事件の現場の清掃の仕事をすることになる。血まみれの現場、蛆虫…決して気持ちのよい仕事ではないが、いつしかローズはその仕事が好きになってくるのだった。本格的にプロフェッショナルとしての勉強もして、ローズは現場清掃の会社を立ち上げる。その名前が"Sunshine Cleaning"。
かつての華やかだった同級生にその自慢がしたくて、ローズは同級生の子供が生まれたお祝いであるBaby Showerに行く。その間に、ある事件が起こるのだった…。
登場人物がどの人もなかなかのダメ人間なのだが、それが人間らしくていい。そして、いつもつくづく思う。ダメ人間っていうのは、やさしすぎてダメなのだ。パートナーを自殺でなくしたおばあさんに寄り添ったり、遺体のある家の遺品から、死んだひとが愛されていたか、とか死を知らせるべき遺族がいるかどうか探ろうとしたりして、その危うさにハラハラする。本当は現場清掃の仕事をする人は、もっと心を無にしてやらなきゃつらいのではないか、と思ってしまう。
この映画はアメリカ映画っぽく、失敗した人にチャンスをくれるところがいいな、と思った。