仏領リユニオン島のマヌーシュ・ジャズ・トリオ、"Mano Gipsy Trio"

フランス語の授業を受けると、かなりはじめのほうでDOM-TOMという単語が出てくる。 これは、Départements et Territoires d'Outre-Mer、つまりフランスの海外領土、地理的に欧州の外にフランスが有している場所を指す。リユニオン島もこのDOM-TOMのひとつの海外領土であり、フランス領ながらインド洋にある島である。
この島でマヌーシュ・ジャズを演奏しているバンドを見つけた。"Mano Gipsy Trio"という名前で、県都であるサン・ドニのジャズクラブ、Caveau Rontonayでのライブ映像を見つけた。
ベースは、ユリック・ドゥラクヴェルリYouric Delacuvellerieと読むのだろうか。ずいぶんながい苗字の人だ。ギターの二人、マノエル・ニコラManoel Nicolasとナタリー・ラジャオナリソンNathalie Rajaonarisonは、歌も歌えるようだ。ここではブランサッスの"Le vent"をうたっている。

そして、ジャンゴの名曲"Rhyteme Futur"。

このグループは、20年もマヌーシュ・ジャズの分野で演奏活動を行ってきたリードギターのマノエルがジャンゴのレパートリー演奏をするために立ち上げたとか。このグループの前には、"koté manouche"というグループでギターとボーカルを担当していたらしい。地元テレビにも出演している映像があった。

"koté manouche"の芸風を"Mano Gipsy Trio"のそれと比較すると、もっとジャンゴ・ラインハルトやミュゼット寄りの音楽をやりたかったのかな、などと思ってしまう。昨年9月には、Romaneの息子で現在活躍しているギタリスト、リシャール・マネッティRichard Manettiを招いてMano Gipsy Trioとの共演も行ったとか。今日もリユニオン島でマヌーシュ・ジャズを盛り上げているんだろうな。