ドイツの若手ヴァイオリニスト、Sandro Royの新作アルバム"Souvenir de Paris"。

1994年生まれのドイツ人ヴァイオリニスト、サンドロ・ロイSandro Roy。Sintiの一家に育ち、クラシックヴァイオリンを学んでいたようだが、ジャズも学んでおり、二十歳前には 自身のバンドでビレリ・ラグレーンBireli Lagreneやストーケロ・ローゼンバーグStochelo Rosenbergと共演する経験を有するため、マヌーシュ・ジャズを聴く人なら見かけたことがあるヴァイオリニストではないだろうか。それこそ、ドイツのマヌーシュ・ジャズの世界では、評論家がステファン・グラッペリStéphane Grappelliと比較するレベルのヴァイオリニストであり、地元のテレビにも多数出演している。また、クラシックの世界でも、 五嶋みどりやNigel Kennedy等有名ヴァイオリニストを育てたJens Ellermannに指導を受けたり、13歳でコンクールで受賞の経験もある。もちろん、複数の楽器も演奏できるそうで、ジャズ・ギタリストでもあるという。そんな彼のバックグラウンドが、彼の音楽をより深く魅力的なものにしていったのだろう。
ファーストアルバム"Where I Come From"では、マヌーシュ・ジャズだけでなく、ジョビンの曲からツィゴイネルワイゼンのようなクラシック曲、そして、"A Child is Born"のようなスタンダードジャズナンバーまで、幅広い曲をカバーしていた。

20歳にしてすでに多彩な才能を見せたサンドロが2018年になってリリースしたのが、"Souvenir de Paris"だ。タイトル曲は自分の曲なのかな。ロビー・ラカトシュRoby Lakatos、マルセル・ロフラーMarcel Loefflerが参加していて、なかにはサンドロとロビー・ラカトシュのデュオで演奏している曲も。Sinti出身のピアニスト、ジャーメイン・ランズバーガーJermaine Landsbergerもトリオで参加しているので、マヌーシュ・ジャズ色が強くなっているのかと思いきや、モダンジャズ作品として楽しめるアルバムになっていた。

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ヴァイオリンのサウンドが上品にのっかっていてとてもよい。一聴の価値あり、です。