セシボン


セシボン(쎄시봉)、2015年、韓国、キム・ヒョンソク監督

70年代にソウルではやった歌声喫茶「セシボン」では、連日歌の上手な学生フォーク歌手たちがステージで腕を磨いていた。セシボンで行われるコンテストにおける常連の優勝者だったユン・ヒョンジュとソン・チャンシク、それにちょっと地味だが歌唱力があるオ・グンテを加えた3名で、「トリオ・セシボン」が結成され、メジャーデビューに向けて活動をしているところに、ある事件が起こり、トリオは「ツイン・フォリオ」という二人組でデビューするに至った。さらなる事件により、結局このツイン・フォリオも1年くらいで解散することになるのだった。

韓国って当時は戒厳令か何かひかれていたのだろうか。服装が乱れた若者を取り締まる風潮や、12時以降は外出できない等、当時の閉そく感が伝わった。そんな空気をかいくぐって明るく生きる若者たちと、だいぶあとになって明らかになる「ツイン・フォリオ」を陥れる罠の真実が印象的だ。セシボンのマドンナ、ともいえる若手女優のジャヨン、本当に美しいけど上昇志向が強いためか、あまり自己中すぎる! ジャヨンに惚れて「ジャヨンのために歌いたい」と歌手になることを決意したオ・グンテが痛々しい。両想いと思われたのに、いきなり彼女が映画監督と結婚したことで、オ・グンテの歌を歌う動機が崩れ去ったんだ、と思うと、痛々しい気持ちになった。

映画としてはあまりヒットしなかったようだが、青春映画として楽しめるいい映画だと思った。

ツイン・フォリオは実在したバンドであり、こんな風にリバイバルで活動したりしているようだ。米国のポップにオリジナルの歌詞をつけてカバーを付けていた、という。

この作品にてユン・ヒョンジュを演じていた、カン・ハヌルが、ゆずの北川悠仁氏に見えてしまうのは私だけだろうか。ギター抱えているから、まずます・・・ね。