チョコレートドーナツ

Any Day Now, 2014年、米国、 トラヴィス・ファイン監督

ルディ・ドナテロは、ナイトクラブでショーをして日銭を稼ぐドラァグクイーンだ。決して楽な暮らしはしていない。ある日、お客さんとしてやってきた弁護士、ポール・フレガーと懇意になる。
ある日、ルディは、アパートの隣人の部屋で、ダウン症の少年、マルコに会う。母親が麻薬のせいで逮捕されてしまい、一人取り残されたのだ。マルコが施設に行くことが耐えられないと感じたルディは、ポールとともに母親に掛け合って、親権を譲り受け、マルコと暮らすようになる。マルコに大好きなチョコレートドーナツをあげて、夜寝る時はハッピーエンドのお話を聞かせてあげて、幸せな日々を送っていた3人だったが、ある日二人は養育者の権利をはく奪されてしまうのだった…。

ゲイである二人に対する社会の風当たりの強さがひどく、考えさせられる映画だった。とくに弁護士のポールに対する上司たちの偏見は(業界のせいか)、すさまじく、恋愛指向が違うというだけでこんなにも理不尽な目にあうのか、と現実のむごさに目を覆いたくなる。マルコの養育権を巡る裁判においても、ルディ+ポールがマルコに対してきちんと接していたことについて好意的な人たちがいる一方で、二人が同性愛者であることを念頭においた、偏見だらけの弁論が続き、みていて怒りがこみ上げ充て来る。
そんななか、この映画の結論はあまりにも悲しい。麻薬中毒で子供のことを思いやらず、男を連れ込んでは子供をないがしろにする母親が、すべてをなげうって子供を世話しようとしたルディたちよりも母親にふさわしい、ということに疑問を感じずにいられなかった。そして、このストーリーが事実をヒントにしているということなら、本件でゲイのカップルから親権をはく奪した弁護士や裁判官は、今後フェアに物事をみてくれるようになっただろうか…。