Russell Malone Quartet@Cotton Club Tokyo。スルメソングに出会う。


久々のコットンクラブで、ラッセル・マローンのカルテットを観に行った。Russell Maloneのことを好きになったきっかけは、彼の20年前のアルバムである「Sweet Georgia Peach」からだ。もっとも、実際にこのアルバムに出会ったのは、アルバムがリリースされてから10年以上経過した2008年のことだったらしい。
musicircus 2008年に聴いた 10枚/長井明日香

このアルバムに入っている「Mugshot」という曲に私は恐ろしくはまってしまい、しばらくアルバムが手放せなくなったのだった。

あれから10年以上が過ぎ、とくにリリースされるアルバムもフォローすることなくふと思い立って赴いた今回のライブ。Russell Malone (g)、James Austin, Jr (p)、Luke Sellick (b)、Neal Smith (ds)というメンバーだった。
ラッセル・マローンがよく見えるかぶりつきの席を確保したが、ギターの音色と選曲にかなり魅了されてしまった。

「Honeybone」(Tripleplay 2010)でぐっと心をつかまれた。一瞬、出だしのメロディでBirei Lagreneの"Place du Terre"かと思ったところも、心をつかまれた原因かも。もっとも、同じ音ははじめの3音くらいだが。で、「For the love of you」(Live at Jazz Standard, vol. 2 2007)で、「こんなにスウィングしたいいアレンジもあるのか」と感激。(ちなみに、この曲を私が知ったのは、Whitney Houstonのアルバムだが、実はThe Isley Brothersが元祖だということも、今知った)。

で、最後、「Amsterdam After Dark」(Love Looks Good on You 2015)で、もうたまらなくいとおしくなり、改めてRussell Maloneが自分好みのミュージシャンであることを確信した。この曲は、原曲はサクソフォニストのジョージ・コールマンGeorge Colemanの作品なのだが、ラッセルの腕にかかると、何かの魔法がかかって軽やかで流れるようなポップソングに早変わり。少しのアレンジで曲に色気が増して新たな魅力が生まれることを実感する。早速このアルバムをダウンロードし、スルメをかじるがごとく日々聴きまくる今日この頃だ。

ライブの冒頭、自己紹介で自分のことを「I'm Katsumi Watanabe!」とか紹介しちゃうお茶目さもまた魅力だった。演奏の中で遊ぶことが多いジャズミュージシャンだからこそ、ユーモアに富んだ人であってほしい。そんなわけで、すっかりRussellにハマったライブとなった。なお、同じトリオにいたピアニストのJames Austin Jr. も華やかな演奏で遊び心もあってよかったな。