「バーニング 劇場版」は極上のミステリー


2018年、韓国、イ・チャンドン監督

ジョンスはある日街角で幼馴染のヘミと再会する。二人は北朝鮮国境付近の、貧しい田舎町の出身だが今は都会に住んでいるようだ。ヘミは、キャンペーンガールをしているが、よい暮らしぶりにはみえない。二人はお酒を飲みにいき、近況を語り合う。ジョンスは、実は作家を志望していること。そしてヘミは、パントマイムを実演してみせたり、アフリカ旅行への夢、リトルハンガーとグレイトハンガーへのあこがれを語るのだった。ヘミは本当にアフリカ旅行を実現し、そこで会った男、ベンとともに帰国。ジョンスを交えた奇妙な関係が始まる。このベンは、何をしているかわからないが、財力だけはある人。
この男とヘミがつきあい出してしばらくしてから、ヘミの行方がわからなくなる。ジョンスは、必死にその裏を探り始めるのだった…

単なる恐ろしいサスペンス、ミステリーと思うなかれ。すごく綿密に伏線が組み立てられていてはっとする。ヘミの過去の記憶に関する嘘と真実、ジョンスの父親、ベンの家の洗面台の戸棚の謎、これまた想像か否かわからない飼い猫、ベンの家で起こるデジャブのような風景とベンのあくび…最後まで目が離せなかった。これは、村上春樹の「納屋を焼く」の良さだけでなく、この監督の作品の組み立て方と俳優陣が素晴らしいからなんだろうな。繰り返しみればみるほど、新たな発見があるだろう作品。