フランスの片田舎にあるジャズクラブ、Colonie d'Onans 。数多のマヌーシュ・ジャズグループも出演!

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"Colonie d'Onans(コロニー・ドナン)"。初めて名前を見たときは、Onansオナンという地名が皆目検討がつかないという感じだったが、ブザンソンと同じDoubs県にある村とわかり、思い出した。私は遥か昔にブザンソンにも暮らしたことがあるのだが、たしかオナンには観光名所として泉というか噴水があって、行ったことがあった、ということを。というか、もとい2016年にブルゴーニュとフランシュ・コンテが合併して「Bourgogne-Franche-Comté 地域圏」というものができていたことも今さら知った。自分のフランス情報が古いことに愕然とする。

人口350名ほどのこの小さな村に、「自分もジャズが好きだから将来はジャズクラブをつくりたい」という理由で2010年、1745年に建てられた城の納屋をジャズクラブ"La Colonie"にしてしまったのが、ジャズトランペッターのジャン・ポール トマJean-Paul Tomasだ。残念ながら2018年にジャンポールは亡くなったようだが、現在は娘のアグネス・トマAgnès Tomasがオーナーとしてこのジャズクラブを運営をしている。

昨年のコロナ禍により、3ヶ月のクローズを余儀なくされたこのクラブだが、2020年7月以降は、収容人数を減らすなどコロナ対策を万全にして現在も運営を続けている。ただ、このクラブは元々「投げ銭」システム。入場は無料で、お客様が帽子に入れてくれたチップから出演料や運営料が支払われるらしいので、運営は厳しいだろう。Tomas一家のジャズへの情熱に敬意を評したい。
www.onans.fr

昨年10月にはジャンポールの10回忌追悼ライブも行われたという。新聞記事には、マヌーシュ・ジャズライブを予定しているようなことが書いてあったが、その映像は見つけられなかった。唯一見つけたのは、ニューオリンズの雰囲気があるビッグバンドのライブ。お父様もビッグバンドのトランペッターらしいから、当然かな。

このお店は、20年代のジャズクラブの雰囲気を再現する、というコンセプトで始まっているので、マヌーシュ・ジャズのバンドの出演歴もけっこうあるようなのだ。たとえば、2011年には、あのミト・ロフラーMito LOËFFLER も出演している。

2019年2月に出演したDiven REINHARDT Trio。

2016年11月に出演したらしいギタリスト、Florent Kirchmeyer。お亡くなりになってしまったのかしら。

2015年2月は、Raymond VALLIというアコーディオン奏者とFlorent Kirchmeyerによるライブ。

2020年8月23日にColonieの外でも、マヌーシュ・ジャズライブが行われている。バンドリーダーであるPouti Reinhardt も、あのジャンゴの縁戚だったりするのだろうか。リズムギターはTeissa lafertinだが、これまたあのラフェルタンの系統なのだろうか。想像だけが広がっている。

正直、ミト・ロフラー以外知らないし、「ラインハルト」姓であっても、細かい情報も見当たらないミュージシャンばかりなのだが、どのバンドも魅力的で実力を兼ね備えている気がする。コアなマヌーシュ・ジャズが聴けるのはパリ以外だとアルザス地方だけだと思っていたが、オナンだったら距離もそんなに遠くないので、アルザスで活躍するミュージシャンたちも出演しやすいのだろうか。とても気になるジャズクラブだなぁと思ったのであった。

La Colonieの歴史が知りたい方はこちらからどうぞ。
Un temple du jazz à Onans