孤島の鬼

江戸川乱歩の作品。「角川ホラー文庫」から出ているだけあって、恐ろしい話というだけではなく、今の時代には決して許されないであろう内容をはらむ。少年探偵団シリーズに慣れ親しんだ人には、かなりショッキングな内容をはらむ、大人向けの小説といえるだろう。

主人公である箕浦という男の周辺で起こった、2つの殺人事件。この事件の犯人を探す課程で次々と明らかになる、恐ろしい事実が明らかになる。その謎をこの目で確かめようと、あるさびれた島に渡った箕浦に、さらなる出来事が襲う…。

冒頭部分、つまり、事件が起こった後、箕浦の周囲の人間で、事件のことを調べている人たちが、箕浦に事件の顛末を告白するシーンでは、まどろっこしさが否めない。そう、バラエティ番組が視聴者をできるだけ長時間番組にしばりつけるために、核心部分を放映する前に敢えてCMを挟むように、すぐそこに事実があるのに、いたずらにその内容が明らかにされる機会をのばされてる感じがあり。

ただ、一度アウトラインがわかると、その後結論までの話の展開のはやさと、裏切りに次ぐ裏切りは、USのTVシリーズ「24」ばりであり、興奮度が高まること、請け合いだ。