"Les enfants de Django〜ジャンゴの子どもたち"という名前のアルバムやらライブやらが世の中には多く存在する。ジャンゴがマヌーシュ・ジャズ(ジプシー・スウィング)の祖だということを考えれば、もっともだろう。
ここでは、52分もののドキュメンタリー映画の名前だ。Zycopolisという映像制作会社が、Patrick Saveyという人の監督のもと制作したらしい。その映像を12分にまとめたオフィシャルトレイラーがこちら。出演者の一部インタビューと演奏が愉しめる。
トレイラーに登場するのは、Stochelo ROSENBERG(ストーケロ・ローゼンバーグ)にTchavolo SCHMITT(チャボロ・シュミット)、Boulou & Elios FERRE(フェレ兄弟)、Biréli LAGRéNE(ビレリ・ラグレーン)、SANSEVERINO(サンセヴェリーノ)などなど。ジャンゴ亡きあとに活躍する有名ミュージシャンたちが、ジャンゴの存在をどう捉え、どのように自分たちの音楽を発展させようとしているのか、演奏を交えながら語っていく、という趣向だ。このトレイラーに出演している人々の意見を総合すると、ジャンゴ・ラインハルトというミュージシャンには、それこそショパンやベートーベンなどの古典音楽を築いた人たちに匹敵するくらいの功績がある、ということ。そして、「子どもたち」は、この「ジプシー×ジャズ」を融合したジャンゴのスタイルに独自の解釈を加えて、それぞれのスタイルで発展させている、ということだ。
あのチャボロ・シュミットにして、こんなセリフを残していた。「どんなに努力をしても、ジャンゴの域には到達しない」。ミュージシャンならではの金言だなぁと思いながら、サンセヴェリーノの"Swing du Nul"を聴いていた。この曲、本当によい曲だと思う。ジャンゴのエスプリを残しながら、自身の節回しを追及している点において、マヌーシュ・ジャズ界の異端児だと思っていたサンセヴェリーノは、もしかしたら模範生なのかもしれない、なんて思った。