デンマークのマヌーシュジャズグループ、Rêve Bohème(レーヴ・ボエーム)

11月17日〜21日までの間、フランスのパリにある"Maison du Danemark"という施設にて、デンマーク文化を紹介するイベントの一環として"JAZZ.DK"が行われていた。イベントオーガナイザーには、フランスでジャズばかり流しているラジオ局"TSF JAZZ"も名を連ねており、たまたま聴いていたPodCastで、デンマーク出身のジプシーバンド、"Jens Fuglsang(イエンス・フグルサング) & Rêve Bohème(レーヴ・ボエーム)"の存在を知ったのであった。
www.reve.dk

Jens Fuglsang & Rêve Bohème
Jens Fuglsang(Guitar & Vocal)
Finn Poulsen (harmonica)
Robert Pilgaard (Rhythm Guitar)
Jesper Riis : (Bass)

Best of Reve Boheme

Best of Reve Boheme


TSF Jazz Liveは、フランスはパリのジャズクラブにおけるライブ様子を生中継するという番組だ。米国系の有名・無名ジャズミュージシャンが、まずはフランス語で頑張ってMCをするも、挫折して途中から英語に切り替わる…という模様が結構な頻度で愉しめるというオマケ付きなのだが、Jens Fuglsangは、はじめから堂々と英語でライブを仕切っていた。ま、そのほうが自然っちゃ自然だが。

オフィシャルページの記載によると、リーダーのJensは、もともとジャンゴ・ラインハルトの論文を執筆していた関係で、パリのデンマーク教会にてジャンゴ関連の講演会を任されていた。その講演会で、レコードをかける代わりに、自分のバンドでマヌーシュ・ジャズを演奏しちゃおう!と企画したところ、なぜか、ジプシージャズで有名なレストランBistro d'Eustache(ビストロ・デュスタシュ)でもジャンゴの音楽をやるはめになり、気がつけばデンマーク人なのにパリでデビューを飾ってしまった、ということらしい。

ライブでは、どういう状況で自分がジャンゴの音楽に巡り合ったか、などという話もしていたのだが、デンマーク出身の有名フィドラーとジャンゴ・ラインハルトにまつわるエピソードというのが一番おもしろかった。ちょっと自己流訳でメモしておこう。

この有名フィドラー(仮にAとしよう)は、ジャンゴ・ラインハルトとステファン・グラッペリにあこがれて、いつか共演したいとずっと考えていたものの、第二次世界大戦中はそれもかなわなかった。戦争も終わったある日、ローマでジャンゴ&グラッペリのライブがあると知り、Aはバイオリンを抱えてはるばる出かけていった。すると、ジャンゴはこう言ったそうな。「あ、僕は君のヴァイオリンが弾きたい」。まあ、もともとジャンゴはヴァイオリン弾きでもあったから、ありうる話だ。すると、グラッペリが言った。「僕はピアノを弾きたい!」。かわいそうなAは、結局あこがれのジャンゴの前でギターを弾くハメになった、というわけだ。かわいそうなA。ま、ウロオボエなので、信じるも信じないも、読み手次第だけれども。

なぜ「A」にしたかというと、Podcastで聴いた時、Jens氏がこのフィドラーの名前を完璧すぎるデンマークアクセントで発音したため、名前がどうしても聴きとれなかったからだ。ネットで検索をかけまくり、やっと見つけたその人の名は、Svend Asmussen(スヴェンド・アスムッセン)、またの名を"The Fiddling Viking"。今も現役のようで、動画を見つけた。