日生劇場 十二月大歌舞伎で、念願の「達陀」を鑑賞

12/25の千秋楽に、初の日生劇場での歌舞伎鑑賞の機会を得た。目的の演目は、「達陀」。今年2月に生でみた東大寺の修二会の模様を題材にした演目だというのを知っていて、いつかは舞台を観たいと思っていたのだ。一幕見でいっか…と思っていたが、せっかくなのでフル鑑賞することに。
ちなみにリアル修二会の模様は、このブログにもちょっと記録がある。
東大寺の「修二会(しゅにえ)」
http://d.hatena.ne.jp/asquita/20100317/1268831434


一、摂州合邦辻(せっしゅうがっぽうがつじ)
まったく下調べもせず、イヤホンガイドも使わずにみたこの演目がかなりよかった。兄弟間の家督争いに、後妻としてやってきた、尾上菊之助演じる玉手御前は、義理の息子に邪恋を抱き、その挙句惚れた彼に毒酒を盛り、容姿を醜くしてしまう…。昼ドラもびっくりのドロドロ度合いなのだ。そんななか、大詰の部分はもちろんだけれども、菊之助の妖艶さもさることながら、尾上菊五郎が演じた合邦道心が、「天王寺万代池の場」で通行人たちと踊るシーンなど、洒脱でなんかよかったなぁ。
歌舞伎って、「菅原伝授手習鑑」や「白波五人男」など、大きな作品の一部分だけを観ることはあっても、通しで観るのは初だったかもしれない。そういう意味でも印象の深い演目だった。
  
二、達陀(だったん)  
東大寺二月堂で752年も行われている法会を題材に、昭和42年に二世尾上松緑が振り付け、演じたのがこの作品だ。キタノタケシの映画のタップダンスシーンなんかを彷彿とさせる練行衆の群舞と、モダンなライティングがおもしろくて、「歌舞伎でもこんな演出があるんだ」と感心した。集慶というお坊さんを演じる当代の松緑もなかなかの存在感。青衣の女人を演じた時蔵の後ろ姿の色っぽさにぞくっとした。
五体投地やほら貝、鉦の音、幕越しにみえる練行衆の影など、修二会の模様けっこうリアルに再現していると思う。
実は、法会で読み上げられる過去帳には、本当に「青衣の女人」が登場する。どういうことなのかは東大寺のWebサイトで確認していただくとして、「達陀」の内容が「フィクション」としてあまりにもしっくりくるため、本当に「青衣の女人」なんて出てきたっけ…と自分の記憶を疑ってしまった。もう一度今度はリアルな修二会を観に行きたくなった。

◆修二会の話(東大寺Webサイト)
http://www.todaiji.or.jp/contents/function/02-03syunie1-2.html

◆じゃぽ音っとブログのレビュー
http://d.hatena.ne.jp/japojp/20101215/1292423041