"Nous, les enfants de Django"〜ドイツにもいる、ジャンゴの子孫の物語

お正月休みこそ、たまった映像類を観るのにうってつけである。というわけで、2008年にドイツのテレビ局で放映された、1時間半にわたるドキュメンタリー、"Nous, les enfants de Django"を改めて観た。M6でも放映されたみたいだ。タイトルは「自分たちもまた、ジャンゴの子どもたち」という感じかな。
監督は、Suzan Sekerciという人。この監督が、映画"Crossing the Bridge"の監督だったFatih Akinにアドバイスをもらった上で、ドイツのSintiと呼ばれるジプシーで、170年ほど前よりハンブルグに定住しているWeiβ(ヴァイス)家を1年間撮影したものだ。映像では、ヴァイス家の長老エミールが「ジャンゴ・ラインハルトにも、半分はラインハルト、半分はヴァイスの血が入っている」と言っているが、このヴァイス家も音楽を生業としており、"Cafe Royal Salonorchester"という家族バンドをやっている。

Cafe Royal Salonorchester | Zigeunerswing
ドキュメンタリーの本筋は、この家族バンドが、Samois-sur-Saineで毎年6月に行われる国際的なフェスティバル「ジャンゴ・ラインハルト・フェスティバル(Festival Django Reinhardt)」に行くまでの長い道のりを描く、というもの。ただフェスに行くといっても、ミュージシャンのプライドとして、やはりゲリラ的演奏ではなく正式出場したいし、完璧な演奏をみせたい…など、なまじジャンゴと血を分ける一族だけあって、さまざまな葛藤が見え隠れする。そんななか、このドキュメンタリーで一番伝わってくるのは、誇り高きヴァイス家の人々が音楽で生きていくことの厳しさ、そして、定住してもなおキャラバン暮らしがやめられないヴァイス家の人々と、子どもたちも巻き込む根強いジプシー差別、ジプシーを共存させるための行政努力と、それに対する街の人々の複雑な心境などだ。作品に派手さはないが、Sintiの立ち位置と暮らしぶり、ジャンゴ・ラインハルトの偉大さがよく伝わってくる作品だった。
ちなみに、演奏スタイルはこんな感じだ。インタビューがドイツ語なので理解できないが、雰囲気は伝わる…かな?
Hamburg 1